コミケ襲撃 著:川上亮

川上亮:著
TOブックス ISBN:978-4-904376-00-3
2008年8月発行 定価1575円(税込)

ラノベとか過去に何冊か読んた事のある川上亮…帯に“ノンストップ青春アクションノベル”と書いてあったので、一応アクションというジャンルにしておきます。どちらかというと犯罪小説って感じの内容だったけどね…。
知人に騙され、3人の仲間と莫大な借金を背負ってしまったしげるは、借金取りに追われる日々で、残された道は犯罪に走るしかなかった。仲間の提案で、コミケ会場で人気サークルの売上金を強奪する事に。一度目の襲撃は成功したものの、別のサークルでは思わぬ反撃に遭い、作戦は失敗。実はそのサークル、資金調達のため亡国の工作員たちにより運営されていたのだ。しげるたちは、いつの間にか国家規模の事件に巻き込まれていた!
深見真の「ヤングガン・カルナバル」でも、高校生殺し屋が漫画を書いてるけど、亡国の工作員が、資金調達のために同人活動してるっていうのが…なんとも。コミケを襲うという発想自体は、実際に中国人あたりの犯罪者が実行したら、なんか成功しそうな感じだけどね(笑)オタクども気をつけろよって感じ。
せっかくこういうネタを使ったんだから、もう少しオタクが喜びそうな実際のサブカルネタを入れた方が良かったんじゃないかな?そういう部分ではイマイチ物足りなくて不発気味。展開的には、タランティーノやリッチーの映画みたいな、小説で言えば、伊坂幸太郎のバッタモンみたいな印象だな…色々な思惑が複雑に絡み合って、最終的には皆が同じ方向へ向っていき、ひっちゃかめっちゃかな大団円を迎えるというパターン。
しげる以下、襲撃を計画したこの作品の主人公たちなら、どん底に陥っても、なんとか最悪の事態を回避できるのではないかという…希望を見出す感じのラストにはなっていたと思うけど、やや中途半端な終わり方。もうちょっと事件の顛末を収拾してくれた方が良かったかな?読みやすく、つまらないわけではなかったけど、表紙イラストや題材でちょっと期待しすぎちゃったね…。
個人的採点:55点