蝕罪 警視庁失踪課・高城賢吾 著:堂場瞬一 | 105円読書

蝕罪 警視庁失踪課・高城賢吾 著:堂場瞬一


105円読書-蝕罪―警視庁失踪課・高城賢吾 蝕罪 警視庁失踪課・高城賢吾

堂場瞬一:著
中央公論新社 ISBN:978-4-12-205116-4
2009年2月発行 定価900円(税込)









鳴沢了シリーズの堂場瞬一が手がけた、新シリーズの警察小説、第一弾、文庫書き下ろし。今度は失踪調査専門部署の刑事たちを描いた話。現在、三作目まで発売中…一気に3作を100円コーナーで見つけたので連続で読もうと思っている。

高城賢吾は警視庁に設立された失踪人捜査課、その三方面分室に配属されたが、そこは自分も含め訳あり刑事ばかりが寄せ集められたお荷物部署であった。しかし分室室長の阿比留真弓は、高城の力で課を引っ張るよう命じる。そして着任早々に舞い込んだ、結婚を間近に控えた一人の青年の失踪。彼の親と婚約者の依頼で捜査を開始するのだが…事件は意外な方向へ。

新シリーズの1作目ということで、主人公の刑事がどんなキャラなのかも手探り状態で、それは今後レギュラーになるであろう脇役キャラたちもしかり。なので、事件そのものよりも…この1作目では、チームワークがまとまっていくさまの方が、読んでいて面白かったかなという感じでしょうか?

主人公も最初は飲んだくれのアル中刑事で、なんでそんな風になってしまったのかは追々、作品の中で触れられていくし、この1作目ではそのバックボーンにまだ謎の分部も残っていたりするんだけれども、とにかくみんな訳あり揃いの面子ばかり。で、主人公は教育係も兼ねて若い女性刑事とコンビを組んで、地道に地味な捜査をしていくというのが主な内容。

この女刑事…やっぱり気が強くて、どこか鳴沢シリーズに出てきた小野寺冴とダブってしまう分部があり(ということは、この前読んだ「蒼の悔恨」なんかにも似ている)。また、巨漢で、愚図でノロマにみえるけど、意外と神経が細やかで頼りになる刑事なんかも出てきて、そちらも鳴沢シリーズに出てきた今を彷彿とさせる。

一見、鳴沢了とは全く別の作品のように見えるんだけれども、やっぱり同じ作者の作品だなという臭いはどこかで感じますね。そういうクセものキャラ(刑事)が、みんな同じ課にいるわけですよ。こういう関係がどうなるのかというところでは、今後がけっこう楽しみ。失踪人調査ということで、物語の滑り出しはややもたついたが…手がかりがつかめてきて殺人も絡んだ大きな事件へと発展していくと段々面白くなり、最後には派手な見せ場もあった。






個人的採点:65点