蒼の悔恨 著:堂場瞬一

堂場瞬一:著
PHP研究所 ISBN:978-4-56967195-6
2009年4月発行 定価760円(税込)

堂場瞬一の新シリーズで、既に続刊もあり。一応、今作は警察ミステリーの部類に入るとは思うんだけど、鳴沢了以上にハードボイルド調で、その感想がありがちハズレでないのが最後で納得できる展開。
神奈川県警捜査一課・真崎薫は、殺人犯の青井猛郎を追い詰めたのだが、現場で急遽コンビを組んだショカツの新人刑事赤澤奈津をかばったばかりに反撃をくらい逮捕に失敗、自分も重傷を負ってしまう。ようやく退院することになったが、いまだ青井の行方は判明せず、それどころか警察内部では…薫の復帰を快く思っていない様子だ。無理やり休暇を取らされた薫は独自に青井を追う事にしたのだが…。
やはり鳴沢了と比べられて、世間じゃあまり評価は芳しいようじゃないんだけど…時代遅れな感じのハードボイルドを目指してるんだろうなぁって思うと、意外と楽しめます。女に対しやたらキザなセリフをはいちゃったりするのがね、嫌いじゃないです。素直じゃないところは鳴沢にも似てるけどな。
最初の失態の原因にもなった、ショカツの美人刑事と、最初は反目しながらも、次第に恋人関係に発展し、尾行や張り込みを一緒に行うなんて展開はさ、それこそ「破弾」の鳴沢と小野寺冴の関係を思い出すのだが、最後まで読み進めると、鳴沢の焼き直しではなく、どちらかというと冴の焼き直しなのかな、このキャラとか思っちゃうわけですよ。
人殺しで指名手配されているのに、やたらと存在感が薄く、なかなか警察がたどり着けない犯人の青井だけど、時期的に、TV画面に写る逮捕後の市橋達也の姿をダブらせてしまうよ。推理小説のように、スッキリ爽快なラストではなく…謎の分部が残って、やや物足りなさもあるんだけど、その辺りは続編で明らかになるのか、これでおしまいなのか、これ1冊しか読んでない状況では、まだわからない…。
個人的採点:65点