誘拐 著:五十嵐貴久 | 105円読書

誘拐 著:五十嵐貴久


105円読書-誘拐 誘拐

五十嵐貴久:著
双葉社 ISBN:978-4-575-23626-2
2008年7月発行 定価1575円(税込)









気が付けば12月…今年はガクンと読書量が落ちてしまった。不景気のあおりで、積読本をブックオフにけっこう処分もしちゃったりもしてます(笑)この作品、けっこう前に読み終わってたんですけど、感想をアップするの忘れていました…五十嵐貴久の「誘拐」。今は、別の作品をもう読み始めています。

勤めていた理不尽な対応で、家族を奪われた秋月孝介は、誘拐事件を計画…その相手は現職総理の孫娘だった!一方、歴史的な条約締結のため韓国大統領来日…その警備で政府と警視庁は厳戒態勢をとっていたのだが、その最中に起きた事件で大混乱に陥る。北のテロリストの仕業と判断し、捜査を進める捜査本部だが…人員不足で事態が進展しないまま、とうとう犯人から身代金の要求が!

「交渉人」(米倉涼子のTVドラマとは別作品)の興奮が再び!って、帯に書かれてたんですけど…交渉人シリーズの遠野麻衣子が主人公じゃありません。一瞬、刑事の一人で、“遠野”って名前が出てきた気がするけど、フルネームじゃなかったので、本人なのか、そうじゃないのか…たぶん、世界観は一緒で、ゲスト出演的なサービスなんろうと思います。脇役刑事の何人かは同じ人だったような…。

現職総理の孫娘を要求し、サミット中止と身代金を要求する犯人…しかし犯人側の真の目的は別にありっていうパターンなんですけど、今年公開された、某ハリウッド映画に似た内容があったので、フリの段階でピーンときちゃいます。もちろん、あの映画よりも、この小説の出版の方が早いわけですが、自分は接した順番が逆だったので、ちょっと驚きは足りなかったです。

孝介が会社を辞める羽目になった事が、誘拐事件の発端に繋がっているんだけど、その分部がサラリーマンのリストラ問題を絡めた事柄で、けっこうシビア。それを最初の100ページくらいかけて描いてるんだけど、なかなか誘拐事件が始まらないので、前に読んだ同じ著書の「交渉人 遠野麻衣子・最後の事件」と比べると、テンポの悪さも感じてしまった次第。

いざ誘拐が始まっても、犯人側、捜査する警察側、そして総理大臣とその周りの関係者…それぞれの視点が交差しているので、なんとなく手の内がわかっちゃっているような気にはなって、緊張感に欠ける進行度なんですが…どちらも主人公って感じなので、犯人逮捕で事件解決なのか、それとも逃げ切るのかと、どちらなんだろうというあたりで、それなりに最後まで引っ張られました。そして最後には、一応、推理小説的な仕掛けが用意されている。

決してつまらなくはないけど、自分がもとめていたテンションとややズレていたかなと、もうちょっとアップテンポな内容の方が好みです。






個人的採点:60点