翼とざして アリスの国の不思議 著:山田正紀 | 105円読書

翼とざして アリスの国の不思議 著:山田正紀


105円読書-翼とざして アリスの国の不思議 翼とざして アリスの国の不思議

山田正紀:著
光文社 ISBN:4-334-07632-7
2006年5月発行 定価840円(税込)









山田正紀の推理小説…学生運動が盛んだった時代を背景に、無人島に上陸した右翼グループの中で、不可解な殺人事件が起きるという内容のお話なんだけど…。

“日本青年魁別動隊”のメンバーは、ある目的を持って、各国が領有権を主張する無人島、鳥迷島に上陸した。瀬下綾香は、実際は活動にあまり興味がないのだが…メンバーの人柄に惹かれ、自分を慕う後輩の伊藤紗莉と共に隊に参加するようになった。彼女たちが上陸して間もなく…隊内で殺人が発生!なんと犯人は綾香だと指摘され、なんとなしに自分でもそれを自覚しているのだが、はっきりしない…本当に自分が殺したのだろうか?答えが見つからないうちに…新たな事件が…。

「わたしはわたし、わたしはわたしでない」…延々とそんなような事を繰り返す、なんだか夢、幻か…みたいなあやふやな文章。本当に事件が起きているのかも怪しくなるような、そんな内容。良く言えば幻想的な展開。それに加えやたらと思想的な話が多いので…けっこう頭がパンクしてきます。でも、いったい何が起きているのだろうか、今にその真相が語られるに違いないとい思いで、我慢しながらなんとか読み進める…。

最終的には、夢、幻かみたいな分部に、すべて答えが用意してあって、あれもこれも答えを示す伏線だったんだよ、だから実際はこういうことだったんだよってなるんだけれども…オチも含めて、なんか中途半端な印象だな。あくまで直観だけど…犯人の目星はついていたかなと。主人公が本当に犯人なのか、そうじゃないのかの見極めがつけば、そっから先は予測をつけやすいかも。幻想ミステリーだけだったらよかったんだけど、思想的な話は、苦手なので…山田正紀の推理作品の中では、今まで読んできたものより、ちょっとなぁって感じ。






個人的採点:60点