神の領域 検事・城戸南 著:堂場瞬一 | 105円読書

神の領域 検事・城戸南 著:堂場瞬一


105円読書-神の領域―検事・城戸南 神の領域 検事・城戸南

堂場瞬一:著
中央公論新社 ISBN:978-4-12-205057-0
2008年10月発行 定価900円(税込)









鳴沢了シリーズの堂場瞬一作品、確か「久遠」にもチラリと出てきた、横浜地検の城戸検事が主役となり…著者のもうひとつの得意分野であるスポーツものをテーマにしたミステリー。

鶴見の河川敷で、身元不明の若い男の死体が発見された。部下と共に現場に赴いた横浜地検の本部係検事・城戸南は…陸上競経験者であり、その知識から男の身元を突き止めることに成功したのだが…捜査線上に、城戸のかつての同級生の名前があがる。その男、久松誠一郎は、陸上界で天才と呼ばれ、城戸の人生においての恩人でもあったのだが…。

実は、この本を読み始めたのは偶然、「風が強く吹いている」という駅伝を舞台にした映画の試写会場だったんだけど、ページをめくり始めたら、この本も駅伝描写から作品が始まったのでまったく驚いた。表紙裏のあらすじにちゃんと“駅伝途中棄権という城戸自身”って説明があったけど、そこまで見てなかった…単に鳴沢了の番外編的作品なのかなって感じで手に取ったもんなんでね(笑)ついでに、城戸検事が捜査で、自分が住んでる地元にやってきたのもなんだか嬉しい(笑)

鳴沢了シリーズに比べると、テンポがやや悪いかなって思う部分もあるけど…刑事と検事の性質の違いもあり、ただ単に…犯人逮捕だけではなく、逮捕後の公判維持なんかにも気を使って、捜査を進めていくというのが、しっかりと描かれていて面白い。ご都合主義的に、関係者とやたらとニアミスするのは、相変わらず堂場作品らしいなぁってところもあったけどね。

鳴沢シリーズに、チョイ役で出てきた城戸検事は、メタボってる中年のおっさんのイメージしかなかったので(いや、ますます普通の中年オヤジな感じで、鳴沢に比べると全然華がないんだけど)、まさか駅伝の選手だったとは思わなかったよ(笑)そんな描写、あったのかな?なかったよね?事務官の大沢との奇妙な上下関係は一緒だったね…。






個人的採点:65点