人を殺す、という仕事 著:大石圭

大石圭:著
光文社 ISBN:978-4-334-74304-8
2007年9月発行 定価700円(税込)

子供時代のある日を境に届き始めた“C”と名乗る人物からの手紙…その手紙の指示通りに物事を実行したおかげで、順調に人生を歩んできた橘洋介…しかしいつしか「殺し」を命ぜられるようになってから、歯車が狂いだす。手紙に逆らったことから、母親と妻を失った洋介…可愛い2人の娘を守るために、“C”からの命令通りに次々と殺しに手を染めるのだが…。
“C”の正体が、きっと主人公の妄想か何かだろう、二重人格でした的なオチに間違いないと疑いながらも…ひっかかりながら読み続ける。まぁ、このあたりの解釈に関しては…読んだ人にゆだねるような感じなのかな?ホラーといいながらも、リアルな犯罪の延長での出来事が多い大石作品だが、今回はあえて、いわゆるホラーものっぽさを感じさせるつくりにしてきたのかなと好意的に受け止めてみたり。微妙な読後感がクセになる。
最近は、主人公の住んでる場所が、漠然と湘南と語られることが多く、前ほどあまり明確に表現されてない事もあるのだが、久々にきました…途中で、大磯が詳しく出てきた時に、たぶん…そうじゃないかなぁと、もう半分くらいはご当地もの気分で読んでたんですけど、最終ミッションでついに!
あの最終ミッション…去年の秋葉事件をちょっと彷彿させるが、この小説の方はそれ以前に書かれているわけで…相変わらず、ヤバいなぁと思いながら読んでしまう。家族を守るために、人殺しをする、本当は殺しなんてしたくないんだぁと悩んだりするのも、いつもほど変態チックじゃないんだけど…そういう形でロリータ変態ネタを入れてきますか!
人殺しなくせに、わりと常識人な主人公の日常に…敵対する変態が(どちらかというと、こっちがいつもなら主人公になりそうだが)!普通の作品だったらあそこまでいかないけど、大石圭はあそこまでやっちゃうんですね。あの変態も、敵にまわした相手が悪かったんだなぁ…なんせ相手はシリアルキラーだったんだから。
個人的採点:75点