回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター 著:小川一水 | 105円読書

回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター 著:小川一水

105円読書-回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター 回転翼の天使 
ジュエルボックス・ナビゲイター


小川一水:著
角川春樹事務所 ISBN:4-89456-753-9
2000年9月発行 定価756円(税込)








SF作家として有名な小川一水が手がけた冒険小説。スッチーになり損ねた女の子が、貧乏ヘリ会社に入社して、人命救助などいろいろな経験を積むって話。自分はもちろんブックオフの100円コーナーで見つけ、積読本の中に埋もれていたのだが、現在は絶版らしく、Amazonのマケプレでなんと1冊、約2500円で取引されていてビックリ…(あくまでブログを書いてる時点でね)。

航空会社でフライトアテンダントになることを夢見ていた夏川伊吹…本命のシルバーウィングを含めことごとく不採用。養成学校の同期で、シルバーウィングの面接を突破した一宮令子の勧めで、新聞広告で見たJBNという会社の面接を受けることになったのだが、なんとそこは、社員がたった2名の弱小ヘリ会社だった。令子に対する意地もあり渋々、そこでアルバイトをはじめる伊吹だったが、来る日来る日も、雑用ばかりおしつけられ…。

スッチーの厳しい現実を伝える作品は、小説や映像作品でも色々あったけど、そのスタート地点にさえ立つこともできなかったヒロインが、代替えに選んだ仕事で…社会の厳しさや、人間関係、仕事の意味を学んで成長していく。文章も読みやすく、ハラハラドキドキし、エンターテイメントとして面白い読み物に仕上がっている。

基本的には人命救助の現場に接して、成長していくんだけど…映画やドラマのヒーローもののように、ただかっこいい部分だけが描かれるわけじゃない。簡単に人命救助といっても、法律や役所との兼ね合いだとか色々と障害があって、大変なんだよと。実際に過去の災害なんかでも、お役所仕事な縄張り争いみたいなのをしているうちに、救える人命が救えなかったりと言う失敗が数多くあったわけで、そういう部分を皮肉ったりもしている。

登場人物の過去などが上手に絡み合い、最終的にはパニック小説的な醍醐味も味わえるスケールの大きい話につながっていくあたりはなかなか鮮やか。実写映画にもなった漫画、アニメの「レスキュー・ウィングス」との連動で、その小説版も手掛けている著者。同じように積読の中にあり、自分はまだ読んでないんだけど…漫画、アニメ、映画は知っているので、題材的には近いものがあるのかな?と想像してみる。






個人的採点:70点