子守り首 著:福谷修 | 105円読書

子守り首 著:福谷修

105円読書-子守り首 子守り首

福谷修:著
幻冬舎 ISBN:4-344-40857-8
2006年10月発行 定価630円(税込)









ホラー映画の監督、脚本家としても知られている著者の小説作品…映画で見た「こわい童謡」に似てるなぁと思ったら、やっぱりその姉妹編として書かれた作品だそうです。

妻が精神病院に入院中のため、息子を育てながら仕事をしている音楽ディレクターの樋山了。かつて人気アイドルをプロデュースしたことで名を売ったが、今では一発屋のレッテルを貼られている。そんな了が、知りあいのタレント事務所から紹介された新人歌手のセラ…彼女の歌唱力に惚れこみ、起死回生のチャンスとしてCDレコーディングの準備を進める!息子が保育園で覚えてきたらしい、謎の童謡を、セラに歌わせることにしたのだが…その童謡には忌まわしい秘密が!童謡が原因で突如、人間が野獣化し、人々を襲い始めた…。

映画業界の人が書いた作品って、下手な人が書くと…シナリオみたいな味気ないものになっちゃうことが多々あるけど、この著者のものは、そんなことはなかったです。ちゃんと小説として読み応えのある内容にはなってます。ホラーとして、雰囲気は出ていました。

人間が野獣化してしまうあたりは頭の中で「エクソシスト」をちょっとイメージしてしまったけど、グロ描写は上手に描けている(イメージしやすい)。レコード会社の内幕ものみたいな導入部から、童謡調査に踏み込んでいくあたりも、わりと自然な流れ。サバイバル、スプラッター、オカルト要素などを織り交ぜ、最後までグイグイと引っ張る手腕はなかなか。

ただ、それこそ映画の「怖い童謡」を観ちゃっていたので、謎とき部分などが酷似しすぎで、やや面白さが半減したかなという印象。最初から姉妹編だと知って読んでいれば、また印象が違ってきたかもしれない。ホラーといいながら、あまりホラーっぽくない作品も多いけど、これはちゃんとホラーと認識できる作品で、楽しめた方ですね。






個人的採点:65点