TOKAGE トカゲ 特殊遊撃捜査隊 著:今野敏 | 105円読書

TOKAGE トカゲ 特殊遊撃捜査隊 著:今野敏

105円読書-TOKAGE トカゲ 特殊遊撃捜査隊 TOKAGE トカゲ 特殊遊撃捜査隊

今野敏:著
朝日新聞出版 ISBN:978-4-02-250387-9
2008年1月発行 定価1,575円(税込)









今野敏の警察ミステリー…誘拐事件を担当する特殊班“SIT”の話。タイトルの“トカゲ”は、事態が進展した時に瞬時に行動できるバイク部隊の覆面捜査官のことで、特殊班以外の刑事も召集される…主人公的なSITの捜査官二人がトカゲのメンバーということらしい。

大手銀行、ひので銀行の行員が同時に3人誘拐された。犯人の要求は十億円。連絡を受けた特殊犯捜査係、通称“SIT”の捜査員がさっそく行動を開始、犯人との交渉にあたる。特殊班、第一係の上野数馬は、同僚の白石涼子と共にバイク部隊、トカゲとして捜査に参加するのだが…。

話は大胆でけっこう面白い…最近の警察ミステリーは、警察内部の不祥事というパターンが増えてきたが(特に自分が読んだもの)、今回は銀行の暗部が事件の核心部分に関わってくる。警察の方は、お決まりの縄張り争いといったところか…。

ただ、タイトルで“トカゲ”を使っているわりに、その実際のトカゲの活躍が少ないような…刑事ドラマやハリウッド映画のスーパー刑事とは違い、目立たない隠密行動を主とし、他の捜査官たちのやりとりを横目に見ながら、いつでも事態の進展に適応できるよう、待機任務に耐えるというのは、リアルであるんだと思うけど。事件の背景を語るのに、トカゲが動けない時は、新聞記者を登場させ間をつなぐ。

犯人とのやりとりや捜査の過程は面白いのだが、ラストのどんでん返しは弱いか?SIT内部でも、最初の方から事件に違和感を唱える者がいたりして…かなり早い段階から犯人の目星はついてしまったのがもったいない。捜査方針で対立する、無能なキャリア監理官のおかげで、読者の方が“真相に近づいている”と感じ、優越感めいた気分を味わえるのは著者の配慮だろう(笑)






個人的採点:70点