ブランク 空白に棲むもの 著:倉阪鬼一郎
ブランク 空白に棲むもの
倉阪鬼一郎:著
理論社 ISBN:978-4-652-08616-2
2007年12月発行 定価1,575円(税込)
倉阪鬼一郎が、理論社のミステリーYA!で発表した、一応ホラー要素の作品なんだけど、本格推理小説のように“読者への挑戦”があったり、著者のゴーストハンターシリーズのようなコミカルな語り口とキャラクター描写。
身体が揺れだし、髪の毛が瞬く間に真っ白になる、最終的には頭部が破裂して死に至るという、連続怪死事件が発生。その謎に挑戦するのは、超能力探偵の井筒志門。その父親で警察庁・迷宮課の掃部、モデルの妹・詩音、さらに天才将棋少年・かがみが加わり、人智を超えた邪悪な存在と対峙する!
最初こそ、吸血鬼のような部屋とか、黒猫なんて言葉が飛び出すので、吸血鬼探偵のゴーストハンターシリーズかと思ってしまったら、別キャラクター。でも、特殊能力を持っている探偵が主人公というのは、似た設定だね。もう一人の主人公ともいえる天才将棋少年のかがみ君って、竹本健治の牧場智久のパクリ(パロディ)か?
ホラー的な超常現象事件、「ウルトラQ」とか「怪奇大作戦」みたいな事件を、他人に視えないモノが視えちゃう超能力探偵が本格推理小説のように、謎ときをしていくというのは…ちょっと前に読んだ三津田信三の「十三の呪 死相学探偵1」とも雰囲気が似ていたけど…壮絶な“死”の描写が出てくるわりに、ギャグっぽい読みもので、怖さは感じない。
作品の中盤で“読者への挑戦”が挿入され、わりと早い段階で怪死事件の真相には到達するんだけれど、そっから先が、いつもの倉阪節とでもいいましょうか、“文字”のデザインや羅列で恐怖感を出しながら、あっちの世界へ飛んでっちゃって、ひっちゃかめっちゃかになってしまうという最終バトル。ああ、またかよと思いながらも…読んでる方も、こういうのは嫌いじゃないんだけどね(笑)
個人的採点:65点