警察庁から来た男 著:佐々木譲 | 105円読書

警察庁から来た男 著:佐々木譲

105円読書-警察庁から来た男 警察庁から来た男

佐々木譲:著
角川春樹事務所
ISBN:978-4-7584-3339-6
2008年5月発行 定価660円(税込)








「笑う警官」に続き、佐々木譲の道警シリーズを読んでみた…前作に登場した刑事たちがまとも道警内の不祥事に立ち向かう。2006年にハードカバーで出たものの文庫化。

北海道警に、警察庁から監査が入った…生活安全課内で組織的に不正が行われているのではないかという疑惑が浮上したのだ。監査官の藤川は、かつて裏金問題で証言し、現在は警察学校へ左遷されている身の津久井刑事に監査の協力を要請する。一方、大通署、盗犯係の佐伯と新宮は、ホテルの部屋荒らしの捜査を担当するが、それが過去に風俗店で起きた、会社員の転落死亡事故の再捜査に発展する…。

前作に比べると、全体の物語はスケールダウンした印象も受けるが…前作からの続投キャラである、うたった刑事津久井と、大通署の佐伯・新宮コンビがそれぞれ別方向から事件を追いかけていき、だんだんと接点が出てくるあたりのリズムはなかなかである。

また、そうした前作の刑事たちの、その後を知ることができるのも良かった。新米だった新宮が、わりと生意気になってたり、佐伯と小島婦警の微妙な関係だったり…。肩身の狭そうな津久井が、やっとこ刑事らしい活躍もしてたね。

さらには佐伯、津久井に関係するもうひとつの過去にも進展があるなど、シリーズものとして安定した面白さが感じられる。活躍する刑事の数は減ったものの、今回登場の警察庁のキャリア監察官も…一癖も二癖もあるキャラで、魅力的。

今まであまり読んだことはなかったけど、ちょっとこれからは佐々木譲の警察ミステリーをチェックしてみよう。あと1冊、このシリーズではないんだけど「ユニット」という作品を100円でGETしてある。






個人的採点:70点