笑う警官 著:佐々木譲

佐々木譲:著
角川春樹事務所
ISBN:978-4-7584-3286-3
2007年5月発行 定価720円(税込)

札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見…その身元がなんと道警の婦警であり、発見場所の部屋は警察官がアジトとして使用していた部屋だった。捜査上に、被害者と同じ部署の同僚で、交際が噂されている津久井巡査部長の名前があがり、やがて津久井に射殺命令まで下される。捜査から外された所轄の一部の刑事たちはこの対応に不審がるのだが、その直後、盗犯係の佐伯警部補の元へ津久井から連絡が入り…。
組織や同僚からもやっかまれる警官が殺人事件の容疑者にされてしまうが、何かがおかしいと感じ取った所轄の刑事たちが、汚名を晴らしてやろうと行動を開始する。道警の不祥事や権力争い、キャリア官僚などいろいろな問題を抱えながら正義を貫こうとする警官…大沢在昌の「新宿鮫」だったり、堂場瞬一の「鳴沢了」なんかにも似た雰囲気の作品だが…個性のある刑事が、チームワークで捜査を進めていくのがなかなか面白い。
特に、メインの佐伯本人は、司令塔となり…頭脳プレーで、仲間を動かし、敵の裏をかいていくのがなかなか良かった。津久井の事件が起きる前は、そんなイメージの刑事に見えなかったんだけど、意外な感じで面白かったな。作品のテンポと、リアルな雰囲気の相性がよく…一気に読破。確かに映画になったら、和製「24」みたいで、面白いかもしれないね、コレ。
佐々木譲は初めてだったんだけど、いくつか100円で見つけてあるので、続けて道警シリーズと呼ばれているこの作品の続編?「警察庁から来た男」を読んでみるつもりだ。
個人的採点:75点