理由あって冬に出る 著:似鳥鶏
理由あって冬に出る
似鳥鶏:著
東京創元社 ISBN:978-4-488-47301-3
2007年10月発行 定価609円(税込)
鮎川哲也賞に佳作入賞したという、これがデビュー作の新人作家の学園ミステリー…ラノベ風の表紙のイラストは、けっこう好みで惹かれるものがあったんだけど…。
某市立高校の美術部の葉山は、ひょんなことから同じ芸術棟を利用している吹奏楽部で噂になってい幽霊騒動の真相を突き止める事に関わってしまい、吹奏楽部長の秋野麻衣たちと共に夜の芸術棟を見張ることにしたのだが…葉山たちの目の前で本当に幽霊が!翌日、その話に食らいついた文芸部三年の伊神の命令で本格的な調査を開始するのだが…。
創元推理文庫から出ているだけあって、本格的に推理はしているが、やっぱり内容はライトノベル的だね。幽霊なんているわけがないから、だれかが人為的にやらかしているに違いない。では、いったい誰が、どんな方法でやっているだろう?というのを、ラブコメな展開を交えながら解き明かしていく。
そんなに奇をてらったトリックでもなく、それよりも、犯人の動機を含む真相なんかを、「えっ、そんなことで?」みたいに驚かすことに主眼が置かれていたような気がするな。プロローグで語られる、主役高校生たちとはまったく別の視点のキャラが、どこかで関わっているんだろうというのは想像の範囲内だから、かえってあんなプロローグなかった方が良かったんじゃないか?
また、途中で突如現れる警察とか?けっこうリアリティに欠ける描写…急に展開が安っぽくなった。なんとか物語を完結させたいという作者の焦りを感じるね。それよりも、学園もので、夜の学校が舞台の作品ってよくあるけど、実際の学校って、どんなおんぼろ校舎でも、最近はセコムとか入ってて、すぐ警報なるよね?近所の中学校とかでも、不良とかが入り込んで捕まったなんて事件が、過去によくあったよ。
個人的採点:60点