軽井沢マジック 著:二階堂黎人 | 105円読書

軽井沢マジック 著:二階堂黎人

軽井沢マジック 軽井沢マジック

二階堂黎人:著
徳間書店 ISBN:4-19-890790-0
1997年11月発行 定価600円(税込)









昔は、二階堂蘭子シリーズしか読んでいなかった、二階堂黎人…このあいだ、「稀覯人の不思議」を読んで、水乃サトルシリーズもまぁまぁ面白かったので、シリーズの1作目を見つけてきた。なんか、最近、講談社文庫の新刊で再発されたらしい…初出は1995年のトクマノベルス。

旅行会社に勤務する水乃紗杜瑠は、美男子だが、その奇行ぶりは有名で同僚の女性陣から変人扱いされていた。そんな紗杜瑠に憧れる部下で新人の美並由加理は、同伴した出張の帰り道に、紗杜瑠の気まぐれで軽井沢で下車、知り合いのペンションに泊まることなったのだが…滞在中の軽井沢で次々と奇妙な殺人事件が発生し、事件の渦中に…。

列車内で見つかる死体をはじめ、次から次へとサトルが行く先々で死人はいっぱい…三億円事件まがいで時効寸前の、過去の強盗事件まで関わってきたりと…なかなかの大風呂敷。サトルの奇人変人ぶりは、他のシリーズを読んでいたので、予想はできたものの、コミカルで面白い。

著者もテンポなどを重視しているとあとがきで語っていたので、死人が多いわりに、気軽に読めちゃうミステリーなんだけど…導入部など事件がミステリアスだったわりに、謎解きの醍醐味がちょっと薄目かなと、やはり感じてしまう。

ノホホンとした推理好きのおぼっちゃんが、事件に首をつっこんじゃう。推理力や洞察力は抜群なんだけど…やっぱり途中の展開が、浅見光彦的(笑)に感じちゃう。「稀覯人の不思議」はそんな風に感じなかったけど。

シリーズ1作目なのに、過去にいろいろと事件に首をつっこんでいるらしい迷探偵のサトル…意味深な思わせぶりのセリフがいっぱい出てきた。このシリーズは学生編と、現代の社会人編の二通りのシリーズがあるから、どこかで前日談的な話として描かれているのだろうか、ちょっと気になった。






個人的採点:65点