黒の狩人 下 著:大沢在昌【新刊購入】

大沢在昌:著
幻冬舎 ISBN:978-4-344-01560-9
2008年9月発行 定価1,785円(税込)

ちょっと時間がかかってしまったが、大沢在昌の2巻組の最新刊「黒の狩人」を上巻に続き下巻も読み終わる。
公安からの依頼で中国人連続殺人事件を追う新宿署の佐江…少しずつ真相に近づいてきたところへ、今度は事件に関係する暴力団が何者かに射殺されてしまった。さらに、中国側から事態の収拾をするために派遣されてきた中国安全部の人間と、佐江が行動を共にしていた中国人通訳・毛の間に因縁めいた関係が発覚。事件の真相解明よりも公安と中国安全部との情報の駆け引きが優先されはじめた…。
佐江さんのパートナーになった通訳の毛の正体やら、身分を偽った理由なども物語に大きく関わり始める。狩人シリーズというのは、いわば大沢在昌版の“相棒”みたいな作品だよなぁと、改めて実感(笑)
とある倉庫で、ヤクザに囲まれての大立ち回りなど、アクションの見せ場も盛り上がったし、関係者が一堂に会して落とし所を探り合うラストの緊張感も「狼花 新宿鮫Ⅸ」のラストを彷彿とさせる。
ショカツの刑事と公安との確執など、元々、新宿鮫と似ているといえなくもないし…確か「北の狩人」では鮫島らしき人物の記述が出てきて、ニヤリとさせられた記憶があるなぁ。
中国人殺しの首謀者探しで、延々とひっぱる手腕は見事だったが、クライマックスで発覚するどんでん返しな展開は、前半での伏線が親切だったので、わりと早い段階で、こうくるだろうと読めましたね。あの人物が出てきた時点で、ほら、やっぱりこうきたかな感じ。殺し屋の鋒や、国家安全部の何あたりも、もうちょっと強敵だったら良かったかな?と思うところもあり。でも、最後まで楽しめたのは確かです。
個人的採点:80点