天帝のはしたなき果実 著:古野まほろ | 105円読書

天帝のはしたなき果実 著:古野まほろ

天帝のはしたなき果実 天帝のはしたなき果実

著:古野まほろ
講談社 ISBN:978-4-06-182477-5
2007年1月発行 定価1,680円(税込)









去年かな?新刊で平積みされていた時から気になっていた古野まほろの小説を、まとめて4冊、ブックオフの100円コーナーでGET!?今回読んだデビュー作を含むそのうちの三冊が、やたらと分厚くて、定価も全部1600円以上と、なかなかの金額。一気に全部読んでみるか?なんて気持ちで手を出したんだけど…。

90年代初頭の日本帝国…勁草館高校。アンサンブルコンテストを控える吹奏楽部の仲間たちは、厳しい練習に励んでいた。ホルン奏者の古野まほろもそのメンバーの一人。ある日、部の仲間である子爵令嬢修野まりから託された謎の暗号文を、クラスメイトで生徒会長の奥平に見せたところ、その暗号を解き明かしたらしいのだが、学校内で首を斬られて殺されてしまった。吹奏楽部の仲間とともに犯人探しを誓うまほろだったが、さらに新しい事件が…。

セーフ、セーフ、新刊で買わんで良かった。分厚いわりに、パラパラめくると、文字数は少なく感じるから、意外と、サクサク読めるかな~なんて、軽い気持ちで読みだしたんですけど、何コレ?やたら小難しい漢字や外国語を多用して、わざと独特なルビふって…妙にインテリぶった会話したり。専門用語と変な話し言葉と、ついでに虚実入り混じった固有名詞とかもとにかくウザイ。

そのうち慣れるだろうと思って読んでいっても、なかなか慣れない、この作家の文章。ついでに、事件も全然起きなくて、かなり退屈。あまりのつまらなさに放り出そうと思ったことも何度かあるけど、毎回のように、ここまで読んだし、いつかは面白くなるだろうと。途中で放り出したら、この作者に、バカにされてるようにも思えてきて、なんとか読み進める。

約800ページのうち、200ページ目くらいで、ようやく本題らしい事件が起き、さぁ、ここからテンポを挽回するかなと思いきや…テンポはそのままに、また同じようなことの繰り返し。 500ページ目あたりから、700ページ目あたりは、ようやく推理小説っぽくなってきて、主人公たちを含む高校生たちの推理合戦など盛り込まれているので、そこだけはようやく面白くなってきたんだけれど…また最後の100ページくらいが、やたらとクドイかなと。

最後100ページの真相告白、そのとんでもなオチがあってもいいけど…800ページ費やさなくても別にいいんじゃないか、おい。奇抜で、分厚くて、自分のオタク知識をひけらかした蘊蓄詰め放題な文章が文学的だと錯覚しているような感じの作品=メフィスト賞の悪いパターン。

読んでるうちに違和感を感じるからさ、気付くんだけど…せめて、カバーのどこかに、まともな“あらすじ”くらい書いてくれないかね?日本に似ているパラレルワールドな世界観だという情報は、最初から欲しかったよね。有名作家の推薦文と、折り返し部分の意味不明な“あらすじ”もどき…このパターンのメフィスト賞って、当たりはずれの落差が大きすぎるよ。買っちゃったので、いつかは他の作品も読んでみるけど、すぐには続けて読みたくないね。






個人的採点:55点