トランプ殺人事件 著:竹本健治 | 105円読書

トランプ殺人事件 著:竹本健治

トランプ殺人事件 トランプ殺人事件

竹本健治:著
東京創元社 ISBN:4-488-44303-6
2004年9月発行 定価693円(税込)









一年ちょっと前に、「囲碁殺人事件」「将棋殺人事件」を読んだんだけど、竹本健治のゲーム三部作と呼ばれるシリーズの完結編。初出は1981年だが、これは2004年に創元推理文庫で出た改訂版。前2作も改訂版で読んだので、時々、角川文庫版とかも100円コーナーであったんだけど、我慢してこっちの創元推理文庫版を探していたので、なかなか読めなかった。

精神科医の天野は…カード仲間と共にコントラクトブリッジを楽しんでいたが、参加者の一人、沢村詠子が、密室状況にあった遊戯室から忽然と消失…後日、別の場所で死体で見つかった。警察の捜査では自殺ではないかということなのだが、腑に落ちない天野は、友人の須藤や天才少年棋士・牧場智久に相談を持ちかける…。

このシリーズでは、いつものことだけど、専門用語いっぱいで、最初のとっかかり部分はかなりキツイ。コントラクトブリッジなんてシャレたゲームは全くやらんので、囲碁、将棋以上に…チンプンカンプンだった。

初心者読者のためなのか?かなりのページを割いて、ゲームのルールや用語説明が事細かく説明されているんだけど、それを読んでも????。こんなもん飛ばして読んでも、物語に影響ないんじゃないかと…思っていたら、ちっ、仕掛けありかよ。でも、そんな仕掛け、見破る余裕なし(笑)

ただ、チンプンカンプになっていても、前半部分でややひっかかりを感じるのは確かですね。その後、150ページくらい読んだところで、ようやく牧場智久登場…このあたりから、推理小説として楽しむ余裕も若干、出てきたかな?

最後まで読むと、作者にうまく煙に巻かれているみたいで、そこがけっこうミステリアスな雰囲気を味わえる。推理小説的な、真相看破のカタルシスなどもはやどうでもよくなってしまい、現実と虚構の狭間でもがく登場人物同様に、作品の中に読者を迷いこます。作中に登場した何度か登場した“惑乱”という言葉が、そのままピッタリとはまる作品。






個人的採点:70点