稀覯人の不思議 著:二階堂黎人 | 105円読書

稀覯人の不思議 著:二階堂黎人

稀覯人の不思議 稀覯人の不思議

二階堂黎人:著
光文社 ISBN:4-334-07608-4
2005年4月発行 定価920円(税込)









二階堂黎人の本格推理小説…自分は今まで、著者の二階堂蘭子シリーズしか読んだことがなかったので、別の名探偵シリーズ、水乃サトルシリーズを読むのは初めて。主人公が大人に成長した話と、学生編の二種類存在するらしいのだが、今回は学生編。

手塚治虫愛好会の会長、星城明人が自宅で何者かに殺された。犯人は被害者を自殺に見せかけ、密室状態にして現場から立ち去ったのだ。さらに、被害者がコレクションしていた貴重な漫画古書も盗まれていることが判明した。残された愛好会のメンバーは警察から目をつけられてしまったのだが…そこに愛好会メンバーの一人でもある水乃サトルが颯爽と現れ、事件調査に乗り出す!

著者本人が手塚治虫ファンクラブの会長をやっていたという有名な話があるだけに、かなり趣味の世界で暴走しまくってる作品。嫌いじゃないが、そこまで手塚治虫に傾倒しているわけじゃないので、マニアックなウンチク攻撃に、そうなんですか~とため息をつかされまくり(笑)

ただ、ちょっと趣向は違うものの、自分も本が好きだし、他の趣味でもコレクター癖は人一倍強い方なので、この作品に登場する古本好きのキャラクターたちの心情には、けっこう共感できてしまうところがある。

今ではブックオフの100円コーナーばかり利用するが、昔は、けっこう高い古本買ってたよなぁ。ハードカバーの小説とか、定価が高いから、古本でも、欲しい本が半額くらいになってるとけっこう嬉しかったもので…古書店めぐりのエピソードなど、読んでる最中は、けっこう懐かしい気分になった。

作品の舞台設定は、今から20年くらい前?まだ、手塚治虫が御存命中だった頃のお話で…その頃の、いろいろなタイプのオタク人間たちの描写がけっこうリアルに描かれていて、面白かった。

ミステリー部分に関しては、蘭子シリーズに比べると軽めなものなんだね。わりと、最初の直感で犯人に到達できてしまったかな。犯人に関する別のエピソードも、実は何らかの事件ではないだろうか?と疑っていたのだが、それは違ったけど…。






個人的採点:65点