殺されざる者 BLOODY ACTION 著:鳴海丈

鳴海丈:著
徳間書店 ISBN:4-19-892201-2
2005年2月発行 定価680円(税込)

1か月ちょっと、諸般の事情で読書から遠ざかってました…ということで、ブログも全然、更新してなかったんだけど、久しぶりに読書と更新を再開。エロコメが400件近くあって削除するの大変だった…いまだに、エロコメとか迷惑TBやるバカっているんだね。
バイオレンスで鬼畜満載なアクション巨編…実は過去に読んだ作家の“鳴海章”かと思って買っちゃったんだけど、別人の“鳴海丈”だった。だから初めて読む。この作家さんは、普段は時代小説を書いてる(あまり興味無いなぁ)そうなんだけど、初めての現代ものがこの作品なんだそうだ…1998年にハードカバー、その後、新書化→文庫化。
密林で目を覚ました男は、記憶を失っており、自分が何者で、どこで何をしているのか理解していなかった…しかしナイフや拳銃を所持しており、なぜかその手の知識や能力は覚えていた。自分はもしかして兵士なのか?そんな男の前に、突然…大人たちが幼い少年少女を嬲り殺している壮絶な現場に遭遇…助けに入るのだが、助けられたのはマリーという金髪の美少女だけだった。そこは秘密組織サンクチュアリが、VIP会員のために殺人ゲームを提供するダンテ島だということが判明…男はマリーを連れて脱出を試みるのだが、彼らにとんでもない追手が迫る!
まさにノンストップ…何やら怪しげな島、密林地帯からお話は唐突に始まり、主人公は日本人らしいんだけど、記憶を失ってて…そのくせもの凄い戦闘能力を有している。のっけから、名もなき少年少女たちが、変態の大人たちに犯され、嬲られ、惨殺されまくるなんてシーンに出くわした記憶喪失男が、とっさに助けようとするんだけれども…って感じでお話は始まる。
このへんてこな島を意外と簡単に脱出に成功するんだけれども…舞台を日本、東京に移し…殺人集団に追われながら、少女を守り、自分の記憶を取り戻していくという寸法。殺人集団の鬼畜っぷりは、日本に舞台を移してからも、その勢いは止まらず…死体の山がどんどん築かれていく。この変態殺人集団たちの心理とか、それと同時にこれでもかと、実在の殺人鬼に関するウンチクが語られるあたりも、この作品の読みどころ。
記憶喪失男の正体とかも、凄すぎて笑っちゃう部分もある…実在のあんな人物とか出てきちゃうし(時代もの書いてるだけあり、こういう嘘くさいものにリアリティをもたせる味付けは上手ですね、この作家さん)。
変態・鬼畜描写の脱線もあるけれども、決してテンポを損なわず…クライマックスまで怒涛の殺戮アクションてんこもり。「スピード」「ダイハード」「ターミネーター2」にクリソツな部分があり、事件を調べる日本人刑事と記憶喪失男の関係なんかは、ちょっとジョン・ウーチック、香港映画チック。著者のあとがきで、殺し屋と美少女という設定も「レオン」からいただいたのでは?という指摘を受けたが、それは関係ないと否定していた。
活字からしばらく遠ざかっていたけど、こういう面白い作品を読むと、やっぱり小説っていいなぁって思いました。作家を勘違いして買っちゃった作品だったけど、意外なひろいもの。これはけっこう面白かった。この人、この路線で他にも書いてるのかな?
個人的採点:75点