火事と密室と、雨男のものがたり 著:浦賀和宏

浦賀和宏:著
講談社 ISBN:4-06-182437-6
2005年7月発行 定価998円(税込)

久し振りの浦賀作品…八木剛士&松浦純菜シリーズの2作目。1作目を1年半くらい前に読んだので、少し内容忘れてる(笑)で、シリーズは既に8作目くらいまで進んでますけど、いまストックしているのは次の巻まで。今後のシリーズのフリを少しずつばらまきながら、今回は自殺事件と放火事件の真相に迫るんだけど…。
暴漢に襲われても、殺人鬼に襲われても無傷、奇跡の男、八木剛士…そしてある事件に巻き込まれて大けがをした松浦純菜。2か月前に起きた事件をきかっけに2人は出会い、純菜はそれまで世間を恨んで生きてきた剛士の唯一の理解者という関係に…。剛士の高校で起きた女子高生の首吊り自殺。それと同時期に巷を騒がせていた連続放火事件…事件の真相を調べ始めた剛士と純菜はある一人の男に注目するのだが…。
うーん、なんじゃらほい?シャマランの映画みたいなとんでも系な設定のミステリー…それ自体は別にかまわんのだが、他の作品に比べて猟奇的な描写が少なめ。その代わり、やたらといじめだ、ひきこもりだの話を延々とするのが、なんだか飽きてくる。
八木剛士自体が、いまどきの犯罪者予備軍って感じで…ネクラでヤバメのキャラなのに、その八木が辟易しちゃうくらいのひっきーオタクが出てくる。八木の屈折した心情、いじめに耐える姿なんかを読まされた後に、また似た話が出てくる。で、さんざん…自分を見ているようで嫌になってくるとか、八木が心情を吐露するんだけど、この二人のキャラの行動を読んでる自分も、思わず共通点を見つけちゃって、いやな気分になってくるという…いつも以上にダウナーな内容だった。
で、肝心な推理ミステリー的な部分が、けっこうやっつけーな感じ。行き当たりばったりだし、「コナンで見た」って根拠とかおちょくってるだろ?原作者の自分の世代がもろ反映されてるっぽいサブカルネタも、逆にダサク感じてしまう。八木くんが、自分とひっきーキャラの違いを、コミックボンボンとコロコロコミックの違いみたいとか表現するとこはちょっと笑ったけど。
前作を読んだ時にも思ったけど、安藤直樹シリーズに比べると、ややパンチが弱い気がする。この次の「上手なミステリの書き方教えます CURE」も見つけて100円GETしてあるんだけど、ちょっと間をあけよ…あけすぎるとせっかく思い出した基本設定を忘れそうなので、そんなにはブランクあけないつもりだけど(笑)
個人的採点:60点