アルキメデスは手を汚さない 著:小峰元 | 105円読書

アルキメデスは手を汚さない 著:小峰元

アルキメデスは手を汚さない アルキメデスは手を汚さない

小峰元:著
講談社 ISBN:4-06-275503-3
2006年9月発行 定価620円(税込)









表紙買いした推理小説なんだけど、昭和48年に江戸川乱歩賞を受賞した傑作ミステリーの復刊版だそうで、自分は今回が初めての挑戦。

女子高生、柴本美雪が亡くなったのだが…実は中絶手術の失敗が原因だったらしい。アルキメデスという言葉を残し、最後まで相手の男の名前を言わなかった美雪。美雪の父親は、相手の男が美雪の学校のクラスメイトらしいという情報をつかみ、教師の協力のもと疑わしい生徒たちに探りを入れ始めるのだが…今度はクラスメイトの一人が学校内で毒殺未遂で倒れ、さらに別件で起きた行方不明事件にもそのクラスメイトの影がちらつき…ついに殺人事件が起きてしまう!

ミステリーとしては、次から次へと多種多様な事件が起き、死因究明やら時刻表を使ったアリバイ崩しまで出てくるので、こういうところはサービス満点なのだが、事件の背景に古臭さを感じてしまう。

今の時代に読むと…ウチの娘を孕ましたのはどこのどいつじゃ!と憤る、オヤジさんたちの考えもだいぶ時代錯誤だったが、学生たちの主張もちょっとちんぷんかんぷんな気がしないでもない。

青春ミステリーのはしりだといわれている作品で、確かに事件の真相や動機の部分ではそういったものが大きく関わってくるんだけれども、高校生の視点が思ったよりも少ないので、ちょっとばかり期待外れ感あり。

刑事たちが四苦八苦しながら捜査をするくだりだったり、真実の露呈の先延ばしよりも、冒頭や結末部分のような高校生たちの視点がもっと前面に出てれば面白かったのではないだろうか?あの学生たちの計画なんかを最初から見せちゃえば、もっとそこへ感情移入して読めたかもしれないね。後半で急にあんなこと暴露されてもなぁ~。






個人的採点:65点