BG、あるいは死せるカイニス 著:石持浅海

石持浅海:著
光文社 ISBN:978-4-334-07655-9
2007年6月発行 定価930円(税込)

2004年に東京創元社のミステリフロンティアで出た作品を、光文社のカッパノベルズで新書化したもの。過去の石持作品がかなり好きだったので、期待していたのだが…もはやSFに近い大胆な基本設定にノレるかどうかがキモだな、こりゃ。
天文部の合宿で流星観測に出かけた高校生の西野優子が何者かに殺され、死体にはレイプ未遂の痕跡もあった…。構内では優等生で通っていた優子にいったい何があったのか?妹の船津遥は…姉の死の真相を追い始めるのだが…彼女が拘っていたらしい“BG”とはいったい何を意味するものなのか?これが事件の謎を解く鍵となりそうなのだが…。
奇抜なSF的設定が面白く描かれていおり、その世界観の中で、しっかりと石持作品らしいフェアな本格推理のロジックが構築されているわけなんだけど、なんかちょっと違和感があったな、自分は。
苗字の違う姉…家族の構成なんかの説明が最初の方に出てくるんだけど、一瞬、そこでどうなってるんだ?って疑問に思って、何度か同じ個所を読み返してしまったよ(笑)
基本的には男より女が多く存在する世界で、男がすごく貴重がられている。しかも人類はすべて女として誕生し、男は女が自然に、または人為的に性転換するとかなんたらかんたら…詳しくは作品を読んで理解した方が面白いと思うのだが、とにかく現代の日本か舞台なのかと思わせておいて、そうじゃなかったと…。
最初から、SFものか何かと理解して読んだら、もっとおもしろかったかもしれないんだけど…過去のようなオーソドックスな推理ものを期待しちゃったので、調子が狂ったというのが正直な感想。もっと推理物として反則的な作品はいっぱいあるので、よく出来てるんだけど、やっぱりちょっとノレなかった。
個人的採点:60点