林檎の木の道 著:樋口有介 | 105円読書

林檎の木の道 著:樋口有介

林檎の木の道 林檎の木の道

樋口有介:著
中央公論新社 ISBN:4-12-203415-9
1999年5月発行 定価900円(税込)









初出は1996年のハードカバーでその後に文庫化された、樋口有介の青春ミステリー。これも2007年に創元推理文庫で改訂版 が出ているそうなんですけど…とりあえず旧バージョンを100円GETできたので。

17歳の広田悦至はボンヤリと夏休みを過ごしていたのだが、元彼女の宮沢由実果から久しぶりに電話があり、呼び出される。しかし、面倒に感じた悦至は、その誘いをぶっきらぼうに断ってしまうのだが…その直後に、由実果が御宿の海で自殺を遂げてしまった…。通夜の席で由実果の幼馴染だという友崎涼子と出会い、実は三人とも同じ幼稚園に通っていたことが判明。そんな簡単に由実果が自殺するはずがないという結論に達した二人は事件の調査を始めるのだが…。

この前読んだ「ぼくと、ぼくらの夏」と似たシュチエーション…離婚した父親と二人暮らしだった前回とは違って、今度は離婚した母親になってるんだけど、近所に住んでる祖父が登場したり、母親に恋人らしき相手がいたりと、主人公の周りはだいぶ賑やか。

で、また自殺した知り合いが実は殺されたんじゃないか?と疑い…急に仲良くなった女のこと事件を調査するという展開になっていく。新しい女友達も気になるけど、昔の元カノの素顔もひっかかる…みたいな微妙な男ごころが、上手な吸引力となり、作品に惹きこまれていくあたりが、相変わらず憎いかな。

展開は似ているし、「ぼくと、ぼくらの夏」もそんなに古さは感じなかったんだけど、こちらの作品の方がもっと後に書かれているので、よりいっそう今読んでも古くささを感じない。アレンジをいっぱいもりこみながらも、より現代風にセルフリメイクしたような作品って印象を強く受ける。






個人的採点:70点