ぼくと、ぼくらの夏 著:樋口有介

樋口有介:著
文藝春秋 ISBN:4-16-753101-1
1991年4月発行 定価428円(税込)

創元推理文庫の復刊版“柚木草平シリーズ”を読み、樋口有介に興味を持ち、昔の作品を大量に発見したので、まとめ買いしてしまった。これがデビュー作らしい。2007年に新装版
夏休みのある日、刑事の父親から、同級生の岩沢訓子が自殺したという話を耳にした、戸川春。偶然、外出先で会った同じく同級生の酒井麻子にその話をしたところ、中学の頃親しかった訓子が自殺したことに疑問を持ち、2人はその原因を探り始めるのだが…。
初出は昭和63年、1988年…20年前ということなので、携帯電話もなければ、出てくる映画なんかの話も古いんだけど、それ以外の部分では、そんなに古さを感じないのは、“柚木草平シリーズ”と共通するな。
軽妙な語り口調で、同級生の自殺の真相を探り始める高校生の話、いわゆる青春ミステリーってヤツ。なんとなく、大沢在昌のアルバイト探偵にも似た雰囲気を感じた。
ただ、出だしこそ、同級生の自殺なんかどうでもいいや~的なところもあったが、最後はわりと切ない系で…どっしりと重たい現実を背負いこまされた感じだね。
事件そのものや、証拠から真相を導き出すというよりは…さりげない人物の描写で、犯人にけっこう行きつく。最後まで読んで、やっぱりコイツかが関わってたか度…100%(笑)
これ、大昔に映画化もされてるんだってね…ちょっと見てみたい。
個人的採点:70点