崖の館 著:佐々木丸美 | 105円読書

崖の館 著:佐々木丸美

崖の館 崖の館

佐々木丸美:著
東京創元社 ISBN:4-488-46701-6
2006年12月発行 定価680円(税込)










いまから30年以上前に書かれた和製の館ものだそうで、こちらは創元推理文庫での復刊版。2005年に著者は他界していらしいんですけど、正直、この文庫がすごいのランキングを見るまで、まったく知らない作家だった。

人里離れた断崖にそびえたつ白い洋館…隠居暮らしのおばのもとに、高校生の涼子は、5人のいとこたちと、冬休みを過ごすためにやってきた。しかし、到着早々に…家の中からコレクションの絵画が紛失する事件が発生。事件はおばの養女で仲良しだっいとこの一人、千波が二年前に転落事故で死んだことが関連するのではないかということになった…。疑心暗鬼になるいとこ同士の間で、さらに事件がおき…。

やたらと傍若無人なおばの存在とか、それに振り回されるいとこ同士がやたらとベタベタしすぎるんじゃないか?というのが、ちょっとね…時代を感じさせないでもないが、文章の方は、今読んでもあまり違和感や古さを感じなかったかな。

物語が進むと、いとこたちの関係が前半の雰囲気から様変わりして、ドロドロとしたものへ変貌。でも、ベタベタも継続しつつという…昼メロか、少女漫画みたいな不思議な世界観で…いったい誰が犯人なのかと、うまい具合に惑わしていきますね。

推理合戦の合間に、哲学やら芸術やらのうんちくもどさりと出てくるんだけど、女子高生・涼子の視点というところで、妙な軽さがあって読みやすかったのかもしれないね。せっかくのお館ミステリー…殺人事件も出てくるんだから、好みでいえば、もうちょっと陰惨さがあったらなお良かったかなと。






個人的採点:65点