図書館戦争 著:有川浩 | 105円読書

図書館戦争 著:有川浩

図書館戦争 図書館戦争

有川浩:著
メディアワークス ISBN:4-8402-3361-6
2006年3月発行 定価1,680円(税込)









プロダクションIGによるアニメ化…その放送も間もなく始まるというので、本屋大賞で話題になった頃に100円コーナーで見つけた原作本を1冊だけ持ってたのでとりあえず読んでみた。

取り締まる法律として“メディア良化法”が成立・施行された現代、正化三十一年…法務省組織であるメディア良化委員会の検閲から、図書館の本を守るための図書防衛員に志願した笠原郁は厳しい訓練の後、エリート精鋭部隊である“ライブラリー・タスクフォース(図書特殊部隊)”に配属されるのだが…。

ライノベ作家が書いてるっていうから勝手に学園もの想像してた。学校図書かなにかをめぐる争いで(それだったら図書室になるか?)、コミックの「究極超人あ~る」に出てきた、春高の一番長い日ってエピソードみたいに、エアガンで戦うみたいなもんを想像してたんだけど、設定自体はとんでもだけど、それを補うために本格的にミリタリーっぽい世界観が作り込んであってびっくりした。

ただ、軍隊調に仕上げたドタバタコメディであり、原風景に近い日常の中での戦闘行為、ところどころに政治や行政批判、学生運動風なテーマが盛り込まれていたりと、押井守とか好きそうだなぁって感じだよね。別に押井さんは関わってないけど、なんか、IGがアニメ化っていうのもうなずける印象。

最近も若年者の猟奇犯罪が起きた時に、やれ不健全な漫画の影響だ、アニメの影響だ、映画の影響だと騒ぐマスコミや、バカな大人たちがたくさんいたが、そういうメディアや社会の風潮を批判した内容になっているところなどは、けっこういいと思うのだが、ただ、せっかく“図書館”を題材にしてるんだから、もっと実際にある“本”を作品に絡ませてきた方が、さらに読書好きの好む内容になっただろうと、少々、もったいない感じ。

漫画で言うと「金魚屋古書店」とかさ、それこそミステリー小説でも「配達あかずきん」みたいなのがあるじゃん。ミリタリーな世界観に拘ったのと同時に、本に関する知識にももっと拘りを見せてほしかった。文章も上手いし、アクション+ラブコメなエンターテイメントとして充分楽しめるものの、大人の鑑賞に堪えうるものにするならば、ここまでいてってるんだったら、もう一歩踏み込んでも良かったよね。大そうなハードカバー書籍で発刊されてるけどライノベを脱し切れてないのが残念。

決してつまらなくないし、アニメも面白そうだが…続きは100円で見つけてからでいいやってレベルです。






個人的採点:65点