讐雨 刑事・鳴沢了 著:堂場瞬一

堂場瞬一:著
中央公論新社 ISBN:4-12-204699-8
2006年6月発行 定価900円(税込)

とうとう100円コーナーでGETした、手持ちストックがなくなってしまった堂場瞬一の刑事・鳴沢了…シリーズ6作目まで連続で読んでしまったよ。古本屋へ行く度に100円コーナーをチェックしてるんですけど、なかなかこの先はまだ見つからない…。見つけたら、ほかの作品後回しでソッコー読もうっと。
東多摩署に移動になった鳴沢は…少女連続殺人事件に遭遇。現在、犯人の間島重は既に逮捕され、立件のための裏付け捜査に東奔西走する毎日だったのだが、同僚の萩尾聡子と車での移動中、高速道路上で車の爆発事故に巻き込まれてしまった。幸い、死亡者はなく、鳴沢たちも直ぐに現場復帰することができたのだが、この爆破事件が思わぬ形で間島事件に絡んでくる…。手紙と電話で犯人からもたらされた爆破予告…犯人の要求は拘留中の間島を超法規的手段で釈放せよというものだった!
出だしが地味な作品の後には、のっけから大掛りな事件が起きるというパターンが多いですね、このシリーズは。色々あって、また所属のショカツ警察署を移動してるし、こじれたわけではないけど恋人ともある事情で関係が疎遠になっていたりする鳴沢…その鳴沢が初っ端から爆破事件に巻き込まれる羽目に。
恋人の兄で、アメリカ留学中の友人でもあるNY市警の日系人刑事・七海からは、「なんで鳴沢ばかり大きなトラブルに遭遇するのか?」と、「怪獣映画で何故怪獣が出てくるのか?」と同等のような疑問を、読者の代わりと言わんばかりに作品内でツッコンでおり、思わず笑ってしまいました。作者もよくおわかりのようで…。
猟奇殺人の犯人を捕まえても、心神喪失とかで無罪になってしまう。最近でも、死刑かと思っていた畠山鈴香に無期懲役の判決が下り、???となった人も多いことだろう。今回の作品は、そういうとこをテーマについており、ついでに、今風のネット批判なども盛りこまれていた。
物語の展開も、テーマも、そしてシリーズものとしてのお楽しみもよく描けているし、過去シリーズにあったような偶然に頼り過ぎていた展開なんかも、だいぶ減ってきて、どんどん惹きこまれていくのだけど、いざ真犯人登場!というどんでん返しの場面になって、予想通りな展開すぎでインパウトが足りないのが、この著者の欠点かな?伏線が素直すぎちゃうね…。
個人的採点:70点