熱欲 著:堂場瞬一

堂場瞬一:著
中央公論新社 ISBN:4-12-204539-8
2005年6月発行 定価900円(税込)

刑事・鳴沢了シリーズの第三弾…また所属の警察署が変わってます。腰かけなんですけど、生活安全課に回されてるし(笑)、セイアンって新宿鮫の鮫島と一緒だね…。
青山署、生活安全課の鳴沢了は、老人たちを騙した悪質な手口の大規模マルチ商法の捜査を担当することになる。また、DV被害者の支援をするNPO団体からの通報を受け、被害者の仲裁に立ち会った了は、相談員の内藤優美と出会う。そんな時に、アメリカに留学していた時の友人が来日するということで、再会を果たすのだが…。
遭遇する事件も、物語の雰囲気、鳴沢の恋愛を中心とした人間関係なんかもパターン化せずに、毎回変えてくるのはすごいと思いますね。DVとマルチ商法詐欺を絡めた物語に、チャイニーズマフィアや殺人事件も絡んでくるんだけど、前2作に比べると、急に地味になった印象はある。
エンジンのかかりは遅かったが、最後の100ページくらいは、展開が急転直下?アメリカの友人っていうのが、刑事なんだけどね…どうせだったら、もっとはっきりと分かる形で、物語に絡めてほしかったなぁ。ラストは、ちょっと煮え切らない感じで、今後のシリーズのどっかで落し前をつけてほしいなぁなんて思いが残る。よく言えばリアルなんだけど、マルチ商法詐欺の捜査の方もなんか、スッキリしない部分もあった。
ただ、そのかわり毎回、重たいもんをドーンと背負っちゃう鳴沢だけど…逆に希望が見えてきたような終わり方にはなっていたね。事件が解決してスッキリした~という内容ではなく、やっぱり鳴沢の成長ぶりや、彼を取り巻く人間関係のドラマに重点を置いてるということなんでしょうね。
個人的採点:65点