風刃迷宮 著:竹本健治 | 105円読書

風刃迷宮 著:竹本健治

風刃迷宮

竹本健治:著
光文社 ISBN:4-334-73289-5
2002年3月発行 定価620円(税込)









竹本健治の牧場智久シリーズ…1998年に新書版で出たものを文庫化。既にこの文庫版の方も絶版になっているということだが…Amazonのマケプレなんかだと1円から出品されている。自分みたいに100円コーナーを根気よく探しても見つかるのでは?

インドの古代遺跡で死者が出るほどの火災に巻き込まれた牧場典子は、どこからともなく聴こえてきた、謎の人物による日本語の言葉に助けられ、無事に生還。 しかし、帰国後はストーカー被害に悩まされ、六本木で起きた殴殺事件や、巣鴨の女質店主人の失踪事件に関わることに…。事件の陰に、天才棋士の弟・智久の存在がちらつくのだが、はたして彼は事件にどのように関わっているのか?

最初から、最後まで何が起きているのか、非情に理解し辛い構成です、まさに迷宮だと。典子を中心に複数の人物が、いろいろな事件に遭遇するんだけど、そのどれもに智久が関わっているようだと。でも、智久本人はあまり出てこない。はてさてとなっていくんだけど…。

典子を助ける精神科医の天野の存在なんかを考えると、なんとなく予想できる結末。大昔に読んだ某、名探偵の名前が付いた“●●●●殺人事件”という推理小説みたいなことなんだろうなぁって思っていたけど、やっぱり。牧場シリーズを読んでいる人には、感じる作品全体の違和感も、物語の行方を見極めるポイントになっているかもしれない。

巻末の解説なんかを読んでも、やはりだいぶ異色な作風らしいのだが、いつもの竹本健治のテーマからはずば抜けて外れたものではないということだ。作中、延々と何が起きているの?という疑問に陥ることができるのはいいんだけど、真相がすべて解明し、すっきりしたぁっていうカタルシスは若干弱めなので、好き嫌いはわかれそう。






個人的採点:60点