渋谷STAY 著:神崎京介
渋谷STAY
神崎京介:著
徳間書店 ISBN:4-19-850727-9
2006年12月発行 定価860円(税込)
渋谷の街を舞台にしたカウントダウンサスペンスだそうで…田舎者の少女が拉致られてしまい、人身売買されちゃうって話で、親御さんと渋谷を愛する大人が犯人探しをする。
茨城から家族でやってきた田村祥一の娘が、母親との買い物の直後に行方不明に!また親に内緒で友達同士で山梨からやってきた林愛美も、連れの市橋友香がナンパ男に拐されどこかに連れ去られてしまった。この二組が宿泊する予定だったホテル“ステイ渋谷”のオーナー寺泊新吉はトラブルを耳にし、自分のツテを頼り事件の調査を始めるのだが…その影には怪しげ、如何わしいパーティーを主催する謎のグループの存在がちらつく。
神崎京介らしい官能小説っぽさも残しつつ、もうちょっとライトな感覚で読める感じの類の作品か?渋谷で困っているおのぼりさんたちを…地元のおっさん集団が助けようと奮戦する物語で、石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」の舞台を渋谷に移して、主人公を中年オヤジと老人に変更したような感じの内容で新鮮味は乏しい。
渋谷で健全なホテルを経営するオーナーを中心に、どこぞの大金持ちの老人やら、探偵まがいの仕事を得意とする無職の男、コメディアンくずれのサンドイッチマンといったクセのあるおっさんたちが…利益を顧みずに人助けに一生懸命に頑張る姿は意外とコミカルなんだけど、それとは対照的に、いたいけな少女を拐かす、アンダーグラウンドな男たちの狡猾さには嫌悪感が。悪人の方に、もう少し小説らしい魅力があれば、もうちょっと面白さが増したのでは?
綺麗ごとだけでは終わらず、拉致られた少女たちもかなりピンチに陥ります。この辺の描写を喜んで読んじゃうと、作品内に出てきた変態オヤジたちと一緒になっちゃうので(笑)
少女が行方不明になる出だしは、けっこう惹きこまれたが、ラストまでその勢いが持続できていない印象も受けた。官能描写もいいが、サスペンス、ミステリーならもうひと頑張りして欲しいかなと思った。
個人的採点:60点