空の境界 the Garden of sinners 下 著:奈須きのこ
空の境界 the Garden of sinners 下
奈須 きのこ:著
講談社 ISBN:4-06-182362-0
2004年6月発行 定価1,260円(税込)
前回に続き、今流行っている「空の境界」を…新書版の下巻です。上巻読了直後に下巻も読み始めたんですけど、やはり作品にノレず…上巻で中途半端だった5章を読み終えたところで頓挫(笑)以降、ダラダラと少しずつしかページが進まない日々が続き、ようやく最後まで読み終わる。
魔術師・荒耶宗蓮の罠におち、拉致されてしまった両儀式を助けるために、荒耶と因縁めいた関係にあった蒼崎橙子がついに動き出す!さらに、黒桐幹也の妹、鮮花の通う礼園女学園で、傷害事件を発端に巻き起こった妖精騒動や、式が昏睡状態に陥った事件にも関係があるらしい連続殺人鬼が再始動を果たし…。
1巻の最初の方に収録されていた“殺人考察”の後編がクライマックスに登場。これを語るために、回りくどく他の物を読まされたんだよね…初心者としては、この章だけ連続して読んじゃう方が、単純に作品を楽しめたかななんて思ってみたり(笑) あえて伏線を忘れさせるために、他の章が存在したんじゃないか?物語の順番、構成をこんなにも複雑にする意味ってあったのかよ?さすがに最後の章に入って、幾分ペースは取り戻したけどね。
結局はさ、極端なツンデレキャラなわけでしょ、両儀式って…生と死、前と悪、光と影…相反する両極端なものとかいろいろと小難しい屁理屈をいっぱい並べたてて語ってきたわけだけど、作品の本質はラブコメじゃねーか、コレって感じで、最後まで読んでも、やっぱり自分には物足りない物語。皆さん、本当にコレ面白かったですか?って訊ねたい。いや、楽しかったんでしょうね…なんせ、アニメ映画になっちゃうくらいなんですから。
いや自分もさ毎回、各章で起きる事件、その導入部分、冒頭ではワクワクするんだよ。あっ、これが普通に名探偵とか刑事が出てきてさ、現実的なオチでスパっ、スパっと事件を解決していく本格推理ものだったら、どれだけ面白かったかと、思ってしまうのは自分だけではないはず…。やっぱ伝奇ものって、自分には向かないのかな?
クールな美少女がさ、着物の上にジャンパー羽織って、ナイフや刀で魔術師や化け物じみた人間と対峙するというのは、確かにビジュアルになったら面白そうだなぁって思うけど、上下巻、合計850ページも読ませてこんだけ?みたいな物語で、あまり小説を読んだ~ってカタルシスが味わえない。
ヒットしているから面白い、皆が面白いと言っているから面白い…とは限らない。ファンの人にマジで怒られそうだけど、たまにはこんな否定的な意見があってもいいでしょ?とにかくまわりくどくてさ、かえって上巻の方がまだ、自分には面白かった。設定がつかみにくいなりに、ミステリアスな部分に多少の好奇心は持続したよ。
個人的採点:60点