屍の王 著:牧野修
屍の王
- 牧野修:著
角川書店 ISBN:4-04-352206-1
2004年9月発行 定価740円(税込)
牧野修がホラー作家として注目されるようになった作品だそうで、1998年には発表されたものを、角川のホラー文庫で文庫化。
元人気エッセイストの草薙良輔は、愛娘が惨殺されるという事件に遭遇し失意のどん底へ沈み、現在では風俗ライターになり下がっていた。そんな時、かつての担当編集者・泉と再会し小説を書かないかと薦められる。娘の供養もかねて「屍の王」と名付けた小説の執筆に取り掛かるのだが…数々の奇妙な現象を体験し始める。
巻末の解説など読むと…日本書紀などからインスパイアされて書かれた作品だそうで、あまり勤勉じゃない自分などはそっち方面は全然、詳しくないのだけど、そういや、登場人物の名前がみんな怪しかったなぁって思うくらい。そういう背景なんかもあるからかな?幻想的な展開になるにつれ…オチなんかは想像しやすい感じだったね。
もちろん、そんな元ネタなど知らなくても充分に(知っていればまた違った見方ができるのだろうが)、牧野印のホラーを堪能できる怪作であり、面白く読める。だんだんと登場人物たちが、いっちゃうところなどもかなり不気味で、グロイし…読んでいる自分たちも、知らず知らずに踏み込んでしまったような錯覚に陥る、あっちの世界の描写なども、味があって面白い。
この作品よりも後に書かれたとは思うんだけど、綾辻行人の「最後の記憶」あたりを読んだ時の怖さに近かったですね、自分は。
個人的採点:75点