女囮捜査官 五感推理シリーズ④嗅覚 著:山田正紀
女囮捜査官
五感推理シリーズ④嗅覚
山田正紀:著
幻冬舎 ISBN:4-87728-699-3
1999年2月発行 定価630円(税込)
ようやく4巻まできました女囮捜査官シリーズ…毎回、あの手、この手で通常の刑事ではない、みなし公務員、囮捜査官の志穂ちゃんを事件に関わらせようと四苦八苦しているのが感じられるんだけど、そこが意外とシリーズの魅力かもしれないなぁって思ってしまったり。シリーズが増すごとに、官能小説ぽいエロ描写がどんどん激減しており、男としては、ちょっとだけ不満だったり(笑)
芝公園付近で頻発する連続放火事件のよう撃捜査に駆り出された、女囮捜査官の北見志穂。彼女をはじめとする捜査員たちが張り込みをする目の前で、新たな事件が!現場一帯を停電が襲った直後…公園のベンチに裸の女の死体が現れた。さらに、その死体の横に、同じような格好をさせられたユカちゃん人形が…。
二つの事件が絡み合いながら、物語のラストで殺人事件の意外な真相が浮かび上がってくるというパターン。放火に全裸死体という、導入部分はかなりインパクトが強かったが…2作目、3作目に比べるとミステリーとしてはやや地味な印象を受けてしまった。
読者が真相にたどりつくための巧みな伏線の張り方、志穂の相棒、袴田刑事の過去を掘り下げるドラマ部分など、読みどころもけっこうあるんだけどなぁ、ちょっと残念。毎回、巻末の解説を人気の推理作家が担当しているのだが、みんなが、みんな誉めるのは、やっぱり2巻目なんだよね。
毎回、事件がワンパターンにならず、さらに最終作の5巻目を読み終わった時に、シリーズ通しての仕掛けなども浮かび上がるような構成になっているという話を耳にするので、そういうことも踏まえて読むと、決してつまらない作品ではないです。最終巻でどんな風にビックリさせてくれるのか、期待してます。
個人的採点:65点