女囮捜査官 五感推理シリーズ③聴覚 著:山田正紀 | 105円読書

女囮捜査官 五感推理シリーズ③聴覚 著:山田正紀

女囮捜査官 
五感推理シリーズ③聴覚

山田正紀:著
幻冬舎 ISBN:4-87728-662-4
1998年10月発行 定価680円(税込)








連ちゃんで読んでる女囮捜査官シリーズ全五部作の真ん中まできました…。今回は息詰まる誘拐事件の話がメインと思いきや…実は女囮捜査官の志穂ちゃんに二重人格疑惑が浮上し…という、なんか今まで以上に幻想的な作風。ちなみに、ファンサービスな官能描写は控え目…でも、しっかりとバスルームであんなことするシーンが!?

凶悪な犯人を射殺した女囮捜査官の北見志穂は事件の後遺症で、神経症を患っていたのだが…その直後に新生児の誘拐事件が発生。なんと犯人は身代金の受け渡し役に志穂を指名してきたのだ!

いきなり誘拐事件から幕を開けるが、途中で時間軸は逆行し…現在と過去の話がいったりきたりという構成に。作品の性質上…突然、多重人格の話とかでてきて、なんか違和感ありありなんだけど、その辺は仕方がないか。

前回の事件が尾を引き、やけに孤立化している志穂ちゃん…まるで「新宿鮫」の鮫島みたいな感じがしますねぇ。まさに女ハードボイルド。いままでも女囮捜査官という、あやふやな立場を現場の捜査員たちからもやっかまれていましたが…今回は容疑者扱いまでされてます(笑)

でも、同僚の袴田のオッサンが、だんだんとキャラ立ちしてきましたねぇ。今回は体調不良の志穂ちゃんの代わりに、いろいろと活躍してました。2人の関係も1巻目の頃と微妙に変化しつつあるし、この辺の関係の変化も今後の楽しみだね。

二重人格などというあやふやなもんを持ち込んではいるけど…読者にちゃんと真相を導かせる道しるべをフェアに与えているのは毎度のこと見事です。作中で志穂ちゃんの容疑が怪しくなるたびに、実はそれが真犯人にたどりつくヒントになっているので、最後まで読み終わった時の“やっぱりね”度がうれしく、爽快。推理小説としての醍醐味が十分味わえる作品になっているのが良い。






個人的採点:70点