女囮捜査官 五感推理シリーズ①触覚 著:山田正紀
女囮捜査官
五感推理シリーズ①触覚
山田正紀:著
幻冬舎 ISBN:4-87728-570-9
1998年2月発行 定価600円(税込)
いまさらながらに、山田正紀の女囮捜査官シリーズに手を出す。ミステリーのガイド本なんかで評判がよく、前から興味があったんだけど、なかなか揃わなくてね…全5部作の一気読みがベターだという話なのでコツコツと集めてましたが、ようやく1巻から全巻揃いました、やったぁ~。
若い娘が、絞殺されスカート剝ぎとられるという事件が、品川駅構内の女子トイレで発生。容疑者確保のため、科学捜査研究所、特別被害者部の女性捜査官…通称・女囮捜査官の北見志穂が捜査に乗り出すが…さらに第二、第三の事件が!現場刑事や担当検事との軋轢に悩みながらも、志穂は独自に犯人に迫る。
最初は徳間書店の新書本で発売されたらしいんだけど…カバーイラストやタイトルが官能小説っぽくて、ミステリーとしてはあまり芳しい売れ行きではなかったらしいのだが、一分のマニアからは絶賛されていたと…巻末に載っている法月綸太郎の解説文でも紹介されている。で、文庫化の際には一部タイトルが変更になったとか(笑)
確かに…女の囮捜査官が、自分の肉体を駆使し、犯人をおびき寄せるという設定に加え…官能小説っぽい描写も本編内にあったりするんだけれども、最後の最後まで犯人像が二転、三転し、真犯人が分かりにくいという、推理小説の醍醐味が十分に味わえる仕上がりに満足。
ただ…女子トイレで行われる犯行というあたりで、なんとなく自分なりにイメージしていた犯人像が、最後でピタっとハマるのは嬉しいし、そのあたりもミステリーとして著者なりのフェアな伏線なんだろうなぁとも納得させられる。
本職の刑事ではなく…特殊な能力で刑事に近い捜査を行うという…今野敏のSTシリーズなんかにも似た警察ミステリーっぽいかなってちょっと思ったり。あと、女性捜査官が主人公ということで、「羊たちの沈黙」っぽさも感じたり。
解説を読むと…このシリーズは毎回のように作風を変え、5部作を全部読み終わった時に、ひとつの物語としても完結するという壮大な作品だということなので、せっかくなんで一気読みしようと思っている。知らなかったけど、2時間ドラマで映像化もされてるんだってね?再放送しないかなぁ~。
個人的採点:70点