アヒルと鴨のコインロッカー 著:伊坂幸太郎 | 105円読書

アヒルと鴨のコインロッカー 著:伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎:著
東京創元社 ISBN:4-488-01700-2
2003年11月発行 定価1,575円(税込)









映画化もされ、すでに文庫にもなっている作品だが…ソフトカバー(ミステリフロンティア)版でようやく入手。伊坂幸太郎のファンってやっぱり繰り返し読むようなコアなファンが多いのかな?なかなか古本、特に100円コーナーで見つからないんだよね~。

大学進学で一人暮らしするために、引っ越してきた椎名は、出逢ったばかりのアパートの隣人で美青年の河崎から「一緒に本屋を襲撃しないか?」と誘われ…何故か書店強盗の片棒を担がされる羽目になってしまった…。

意味不明な断片が、クライマックスに差し掛かるにつれ…どんどんとピースがハマっていくという、いかにも伊坂幸太郎だなぁって感じの作品。書店強盗の真っ最中という突拍子もない出だし、そしてその後に続く日常と非日常の挟間のぬるい時間の流れが、独特の文章で綴られていく。

現在と過去の物語が交互(人物の視点も変わる)に描かれるあたりで…ミステリー好きの人ならある程度は作品の仕掛けにピ~んとくるだろうが、文章のうまさで読まされる。語り口調は粋で軽妙なんだが…でも真相がけっこうディープだったりもする。この辺のミスマッチが受けるんだろうね。普通に考えるとえげつないし、悲愴感が尾を引きそうなもんだが…読後にそういうのを残さない。

ミステリーとしての仕掛けは、過去の有名作品の影響を受けてるなぁって思ってしまい…驚きがそんなに大きくないのはいつものことなんだが(逆にこれを映画にしたっていうけど…どんな演出であの仕掛けを見せるのか、楽しみだ。映画館へ行けなかったのでDVDのリリースが待ち遠しい)、会話や文章が独特なリズムで心地良いんだよね。過去に読んだ「ラッシュライフ」よりは出来すぎ感を強く感じなかったので、最後まで面白く読めた。

別作品と微妙にリンクもしていたりするのはファンサービス?(まだ伊坂作品、5冊目の自分でもわかるようなネタだよ)

文庫版 アヒルと鴨のコインロッカー  
東京創元社 2006年12月発行 定価680円(税込)






個人的採点:70点