幻影のペルセポネ 著:黒田研二 | 105円読書

幻影のペルセポネ 著:黒田研二

幻影のペルセポネ

黒田研二:著
文芸春秋 ISBN:4-16-323300-8
2004年9月発行 定価1,680円(税込)









最近はやりのアバターを利用したネットコミニティーをいち早くミステリにとりこんだ、黒田研二の推理小説。著者は過去にも「ペルソナ探偵」という作品でチャットルームを題材にしたミステリを書いているが、その発展形ってとこかな?

ライターの来栖正孝は、コンピュータ雑誌の編集長からの依頼で、グラフィカル・リアルタイムコミニケーション・サービス“ヴァーチャルプラネット”の記事を書くことに。それはネット上でアバターという自分自身の分身を動かし、ペルセポネという疑似惑星の中を自由に動き回り、他の利用者とおしゃべりやゲームに興じるというもの。実は来栖は、現実世界で起きたプログラマー各務秀則が殺された事件の手がかりを求めて、以前から“ヴァーチャルプラネット”にアクセスしていたのだ。そんな時に“ヴァーチャルプラネット”内で殺人事件が発生。さらに現実の世界でも、そっくりな殺人事件が…。

ヴァーチャルな世界で殺人事件が起きるというのは清涼院流水の「みすてりあるキャラねっと」にも似ているが、さらに現実世界でもシンクロして殺人事件が起きてしまう。過去のクロケン作品を読んでいると…きっと構成的なところで、なんかしかけてくるぞって、ビンビン感じる、なんとなしに違和感の感じる文章…。

主人公がヴァーチャルな空間“ペルセポネ”へアクセスしている描写が作品の大半なので、回りくどさは感じるが…現実世界の登場人物が少なめなので、おのずと作品のオチや犯人なんかにもたどりつけるだろう。推理小説としては斬新かもしれんが、ライノベなどではよく見かけるテーマなので、ネットで見かけた推理小説マニアの人の評判よりは、驚きは少なかった。

ただ軽妙な文章で物語に惹きこむエンターティメント的な物語としては面白く、さすがクロケンといったところでしょうね。







個人的採点:65点