影絵の騎士 著:大沢在昌【新刊購入】 | 105円読書

影絵の騎士 著:大沢在昌【新刊購入】

影絵の騎士 

大沢在昌:著 集英社 ISBN:978-4-08-774870-3
2007年6月発行 定価1,890円(税込)









久々の更新ですが、今回は105円の古本ではなく…珍しく新刊購入本の感想を(実はもう1冊、新刊で買ってるので連続で新刊本を読むつもり)。先月末に買っておいた大沢在昌センセの新刊です。

元探偵のヨヨギ・ケンは俗世間から離れて暮らしていたのだが、10年ぶりに再会した友人で作家のヨシオ・石丸の依頼で、探偵業に復帰。若い頃に自分が活躍していた…かつてB・D・Tと呼ばれスラム化が進行していた東京の街も、すっかり様変わりし、表面上は平和になっていたのだが…“ネットワーク”というTV機構が、あらゆる産業を牛耳るようになっていた。巷では犯罪番組を通じて、予告殺人を繰り返す“双子座キラー”が連日連夜話題になり、ひょんなことからケンも事件調査に関わることに。そして、事件の鍵は、日本版“ハリウッド”と呼ばれる、映画産業の中心地であるムービーアイランドにあるとわかり…ケンはアイランドへ乗り込んでいく!

中身も確かめずに在昌センセの本なんで買っちゃったんですけど…読み始めたら、なんと、近未来SFハードボイルドの傑作「B・D・T」の続編であることが発覚!?タイトルからでは全然、わかんない。傑作とかほめちぎってるくせに…「B・D・T」を読んだのは14年も前なんで(当時もハードカバーの新刊で読んだなぁ)、おぼろげにしか覚えておらず、機会があったら読みなおそうと思ったりしてみる。

で、話は独立してるので、前作の内容を覚えていなくてもほとんど問題なし。主人公も、10年ぶりに東京に出てきて、様変わりした社会に適応するところから物語が始まるので、微妙に設定を忘れているくらいがちょうど良かったりする。過去にどんなことがあったかというのも、触り程度だが主人公や作中キャラの口から語られたりするので、そういえば、そんな話だったなぁって思いだせるし。

舞台は近未来だけど、TV業界や映画産業といった、現代にも通じる、メディア批判を痛烈に感じる作品になってますね。あくまで近未来の映画事情としたうえで、著者の映画に対する現状の不満みたいなものを強く感じる部分があり、自分も映画が好きなので、うなずきながら読んでしまった。


なんか、佐久間公が大人になって戻ってきた「雪蛍」を思い出したなぁ。忘れた頃に、意外な作品の続編…個人的にはぜひ「六本木聖者伝説」の続編を書いて欲しいぞ、在昌センセ。






個人的採点:75点