中伊豆・黄金崎 紅葉狩の殺人 著:若桜木虔 | 105円読書

中伊豆・黄金崎 紅葉狩の殺人 著:若桜木虔

中伊豆・黄金崎 紅葉狩の殺人

若桜木虔:著
有楽出版社 ISBN:4-408-60349-X
2005年12月発行 定価880円(税込)









萌えキャラってほどでもないけど、最近は、トラベルミステリーの類まで、ちょっと漫画・アニメっぽいイラストを使うようになってきましたよね~。名前だけは見かけたことがある中堅どころ(いや、けっこうなベテラン)の作家さん…いかにもトラベルミステリーっぽくて今まで、読む気にならなかったんだけど…表紙カバーの作者のコメントを偶然読んだら、ずいぶんと最近の他のミステリー(作家)を批判・挑発し、自分は本格派の推理小説を目指していると豪語していたので、とりあえず読んでみることにした。

伊豆の老舗旅館の美人女将・森桂子の運転する車が、黄金崎トンネルに差し掛かった時、首なし死体が降ってきて轢いてしまった…桂子は友人である、文字通り県警のアイドル、美人刑事村嶋なつみ刑事に電話で助けを求めた!なつみは早速、現場にかけつけたのだが…そこで首なし死体の正体が、10年前に起きた児童殺害事件の犯人であり、医療少年院を出たばかりの男でありことが判明。そこでさらなる事件が起きる…。犯人は、10年前の被害者の遺族ではないかと考えられるのだが、鉄壁のアリバイがあった!?はたして事件の真相は?

旅行のガイドブックみたいな情景描写が多かったり(実在の固有名詞に、実住所もいっぱい)、やたらと、自分の著作物を読ませようと…過去の事件を意味深に説明するあたりが、いかにもトラベルミステリー的ではあるんだけれども、確かに…衝撃的な事件、ミステリアスな謎、トリックや動機の解明といった、本格推理小説の醍醐味がしっかりと盛り込まれているあたりは関心。作者の強気の発言もうなずけるし…京太郎ファンには悪いが、西村京太郎なんかよりは面白く読めた。

ただやたらと2時間ドラマや、推理小説を引き合いに出したり、うんちくを語るのは…あまり関心しない。中には若手推理作家のミステリートリックを暴露してたり、ちょっとやりすぎでは?作者のコメントにあったような作品批判を本文の中でも辛辣に行っていたね~。

美人女将に、美人記者に、美人刑事と…出てくる女性がみんな美人で、それでみんな友達(なんか、過去のシリーズでいろいろと因縁があるみたいだけど、読んだことないからよくわからない)っていう…ご都合主義的なキャラ設定をもう少し工夫してほしいし、最後も…260ページも読ませておいて、短編作品みたいな、かなりサラっとした終局で味気なかった。もっと、事件を解決したぜ!とスッキリと爽快なラストを読みたかった。






個人的採点:60点