リンゴォ・キッドの休日 著:矢作俊彦 | 105円読書

リンゴォ・キッドの休日 著:矢作俊彦

リンゴォ・キッドの休日

矢作俊彦:著
角川書店 ISBN:4-04-161606-9
2005年5月発行 定価660円(税込)









ちょっと体調をくずしてしまい、読書&ブログ更新を休んでました…久しぶりの更新!月が変わったので、またバリバリ読書に集中したいと思ってます。

知り合いから薦められ、今更ながらに矢作俊彦に手を出してみました。非番のフリー警官、二村永爾シリーズの第1作目。表題作ほかもう1編を収録。最初の発表は1978年だそうで…その後、いろいろな出版社で文庫化されている。

リンゴォ・キッドの休日

高級クラブに勤める女の死体が発見され、さらに米軍基地内の桟橋沖に沈んだ、車から男の死体があがった。一見、無関係に見えた事件だが、凶器が同じ拳銃であることが判明。非番だった、神奈川県警捜査一課の刑事・二村永爾は、横須賀署の岡崎署長から呼び出され、捜査本部とは別ルートで、ひとりで事件を追うよう依頼される…。

自分が、2、3歳ころに出た本であり、その当時の文化が、色濃く反映された作品(シリーズ)。耳慣れない言葉も多く、自分の世代でもギリギリかなって感じ(笑)自分が生まれた昭和50年代って、まだまだそんな時代だったんだっけ?って…時代の流れをめちゃくちゃ感じてしまう1作でしたね。

ヤクザの中沢、週刊誌記者の梨元など二村が行く先々で遭遇する曲者キャラがけっこう魅力的。


陽のあたる大通り

学生時代の友人・吉居から呼び出された二村…現在、吉居は人気映画女優、浅井杳子のマネージャーを務めており、彼女が巻き込まれた厄介事の力になって欲しいという。実際に顔を合わせた杳子から、恐喝の事実を聴きだした二村だったが、別の事件で呼び出しがかかる。捜査本部に顔を出すと、すでに犯人は捕まっていたのだが、犯人の男は、杳子が撮影中の映画のエキストラだった。さらに映画の助監督がロケ現場で怪死している事実も浮かび上がる…。

作者の文体にも慣れてきたので、「リンゴォ・キッドの休日」よりも、こちらの方が読みやすかったですね。芸能界、映画界の話…ちょっと、今公開している「パッチギ! LOVE&PEACE」なんかのネタにも通じる部分があったりして。時代的に同じころの話だもんね。事件の真相なんかも、こちらの方が、面白かったかな。


巻末の解説に、この作品を読んで、若き日の大沢在昌センセが、“衝撃を受けて布団を被って寝てしまった”と紹介されていたが…確かに、和製ハードボイルドの原点といわれるだけの作品ではあるなぁ。オシャレで、クールな文章とキャラクター…自分が頭に描いているハードボイルドの雰囲気がすべて兼ね備えてる作品だもんね。

短編、中編と呼ぶほど短くもなく、内容の濃い作品を、文庫1冊で2つ読めるのは、けっこうお得感を感じる。






個人的採点:70点