オレンジの季節 著:鯨統一郎
- オレンジの季節
鯨統一郎:著
角川書店 ISBN:4-04-873705-8
2006年7月発行 定価1,470円(税込)
結婚と同時に専業主夫になった青年の苦労を、時にユーモアに、時にリアルに描いた家族小説なんだけど、コレはミステリー小説です!
会社員の立花薫は、同じ会社の一年先輩で、上司でもある戎怜華にプロポーズした。実は2人は密かに付き合っていたのだ…。もちろん怜華も、その申し出を快諾したのだが…ひとつだけ条件があったのだが、それは“薫が会社を辞めて、専業主夫となる”ということだった。どうしても怜華と一緒になりたい薫はその条件をのみ結婚、戎家の婿養子になったのだが…両親、姉、弟、妹、それに身体が不自由な祖母の面倒までみなくなってしまい、慣れない主夫業に右往左往する羽目に…。
確かに、主婦業は大変ですよね…自分はまだ結婚してないけど、ウチのおかんを見てると、なんとなく分かります。既婚者の人も、自分の嫁さんがどんなにストレスが貯まっているか?この本を読めば、理解しやすいのではないだろうか?でも、ちゃらんぽらんな自分など、お金を稼いでくれる綺麗な女性に、結婚してくれって言われたら、主夫業くらいやっちゃうけどなぁとかもちょっと思いつつ…。とにかく、読んでいる最中は、このまま昼ドラのホームコメディでもなりそうな雰囲気で、なかなか面白いのですが…。
それがいきなり…クライマックスで、とんでもないことに!ミステリーなのを忘れてましたよ、しかも書いてるのは鯨統一郎…とんでもない展開に、思わずズッコケながらも、意外とツボにハマった。それに、この展開の伏線はちゃんとありましたよね…凄いなぁ。ヒントは婆さん(笑)ここ、ひっかかってたんだけど…この展開まではよめなかった。でも、前半と後半がそれぞれ章立てになってて…後半のサブタイトルが“殺戮の章”でしょ?何かあるとは思っていたけど、ここまで凄いとは…。
前半だけだったら、普通の人にもお薦めできるんですけど…急にジャンル変わっちゃいますからね(笑)やっぱりミステリーとして読むのが正解でしょう。自分はかなり楽しみました。
個人的採点:70点