囲碁殺人事件 著:竹本健治 | 105円読書

囲碁殺人事件 著:竹本健治

囲碁殺人事件

竹本健治:著
東京創元社 ISBN:4-488-44301-X
2004年2月発行 定価609円(税込)









80年代に発表された、ゲーム三部作と呼ばれるシリーズものの第一弾で、既に他社でも何度か文庫化されている。作者あとがきによれば…内容に大幅な変更はないということだが、今現在も続くシリーズキャラものなので、作中に登場した、実年号などをバッサリと削除した改訂版になっているとか。

プロ棋士同士の対局…第七期棋幽戦第二局、碁の鬼と呼ばれる槇野九段は凄まじい妙手で、対戦相手である氷村七段を窮地に追い込み一日目を終了したのだが…翌朝、会場近くで首なし死体として発見された!?知能指数208の天才少年棋士・牧場智久は、姉の典子と、典子が助手を勤める大脳生理学者・須藤信一郎と共にこの対局を観戦し事件に遭遇…。事件前に提示されていた奇妙な詰碁が殺人予告だったのではないかと推理し…事件の謎を追いかける!

実は、親戚筋にプロの棋士とかいて、うちの家族なんかは碁をすこしばかりかじってるらしいのだが、自分はまったく興味なくて、基本的なルールもチンプンカンプン。作中の須藤が囲碁の初心者として描かれているので、それなりに基本の説明もされているんだけど…イマイチ飲み込めなかったり(笑)その代わり、実在の人の名前なんかは、ああ知ってる、知ってると思いながら読んでいた。

囲碁を知っているに越したことはないだろうが、知らなくてもオーソドックスな推理小説として楽しめる。首なし死体、暗号解読…作中キャラたちが推理合戦を繰り広げて事件の核心に迫って行き、意外な犯人&事件の真相が判明するというミステリのカタルシスはしっかりと味わえる。巻末の有栖川有栖の解説によれば、他の代表作に比べ、かなりそっけない作品のようにも感じるらしいのだが、これ以降のシリーズは、“竹本健治らしさ”の味わえる作品になっていくというので、その導入編として、読んでおくといいのでしょうね。






個人的採点:70点