時限絶命マンション 著:矢野龍王 | 105円読書

時限絶命マンション 著:矢野龍王

時限絶命マンション

矢野龍王:著
講談社 ISBN:4-06-182427-9
2005年4月発行 定価998円(税込)









ガスで眠らせて、爆弾付きの首輪つけて、マンションに閉じ込めて殺し合い…新本格と呼ばれた先達の作品をまんまパクったような「極限推理コロシアム」の矢野龍王が、恥ずかしくもなく今度は高見広春の“バトロワ”を模倣か?

亡き両親の遺産として“アカシアマンション町屋”を受け継いだ時田恭二は高校生でマンションのオーナー。自分もそのマンションの一部屋で生活をしている。そして、久しぶりに離れて暮らす兄の公一が訪ねてきた日に、それは突然始まった。何者かが部屋に侵入し、催眠ガスを撒き散らしたのだ。2人が目覚めたときには、マンションに住む他の住人たちも巻き込んだ殺人ゲームが待ち構えていた!生き残れるのは9世帯のうち、1世帯のみ…決められたルールを破れば、直ぐに爆弾付きの首輪が爆発する!生き延びるために、殺し合いを始める住人たちだが、恭二は人を殺すことに躊躇いを感じ始める…。

メイントリックを覆い隠すために、“バトロワ”風の設定を思いっきりパクッてごまかしただけじゃんコレ。で、肝心などんでん返しも…パクリなんだもん。ああ、こういう推理小説読んだことあるよね~って感じ。途中で、バトロワじゃなくて、ダイハードかよってツッコミいれそうになったら、案外、それが的を射ちゃうだもんなぁ(笑)好きな作品に影響を受けるというのはいいと思うのだが、ここまであからさまなのは、やはりね~。前作も、新本格派をアレンジしただけだったので、作者の独創性のなさが窺い知れる。帯にある、“度肝を抜く設定”の意味って、まんま過ぎて驚いちゃうってことなんじゃない?

さらに、冒頭のプロローグ的な文章があるおかげで、ほとんどオチを見破れます。本格推理小説を気取って、読者に対しフェアでありたかったのか?でも、最初のあんな文章がない方が、もう少し驚きは味わえたんじゃない?それにしたって…バトロワ風の殺戮ゲームをやりたいからって、ハイジャックの身代金、200億円っていうのはないだろうよ。あのプロローグからして、陳腐すぎて、まるっきり駄目。

もし、バトロワの小説を読んでなかったり、映画を観ていなかったりしたら…きっと面白く感じたかもしれないが、ミステリー好きな人で、アレ読んでない人、見てない人は少ないだろうなぁ。






個人的採点:50点