バッド・トラップ 著:堂場瞬一 | 105円読書

バッド・トラップ 著:堂場瞬一

バッド・トラップ 

堂場瞬一:著
幻冬舎 ISBN:4-344-01010-8
2005年7月発行 定価1,785円(税込)









劇画調の池上遼一先生の美麗イラストが表紙なので、一見、漫画本と勘違いしてしまいそうですが(笑)、中身はちゃんと小説です。多額の報酬と引き換えに、あるお宝を隠し持つ金持ちに近づき、奪い取ろうとする詐欺師のお話。

ロス暴動の最中に、ある資産家が所持していた純金製のケツァルコアトル像が行方不明になり、それがどうやら日本人の手に渡ったようだ…。その像を見つけ出して欲しいという依頼を多額の報酬と引き換えに受けた詐欺師のリュウは、元傭兵の御手洗、偽造専門家の美女・彩と共に…現在の持ち主小笠原に接触を開始するのだが…正体不明の相手からリュウたちは監視を受ける!どうやらケツァルコアトル像を追っている別グループがいるようだ…。

ちょっとリアルになった「ルパン三世」って感じかな?主人公とパートナーの美女の関係も、恋人未満だというあたりは、ルパンと不二子のようでもあるしね。あと、クールな元傭兵・御手洗の存在は、次元と五右衛門の両方の役割。これで、銭形みたいな好敵手の刑事でも出てくれば、さらに「ルパン三世」っぽかたのに(笑)

ケツァルコアトルというのは、メキシコの神様のこと。色々とケツァルコアトル像には、メキシコの歴史とか文化にまつわる謂れがあるとかないとか…全編に渡りそれらしい伏線はバラまかれているのだけど…何故、価値があるのか?何故、みんなが欲しがるのか?いざ、その真相が語られるクライマックスが、とってつけた感が強く、蛇足気味に感じてしまった。メキシコの文化や歴史に疎いので、いまいちピンっとこないんだよなぁ。

せっかく、用意周到に計画した詐欺の手口、そして派手なアクションでけっこう盛り上がったのに…最後が、つまらなかった。詐欺師の話なんだから、読者を欺くような、もっと派手な仕掛けが、結末にイッパツ欲しいところだ。






個人的採点:65点