密室に向かって撃て! 著:東川篤哉
密室に向かって撃て!
東川篤哉:著
光文社 ISBN:4-334-07490-1
2002年10月発行 定価840円(税込)
このブログを書き始める前に読んでいた、東川篤哉のデビュー作「密室の鍵貸します」の続編で、架空の都市、烏賊川市を舞台としたシリーズ。もちろん事件は別物なので、単独で読めるのだが、探偵の鵜飼を始めとする主要キャラクターは続投。かなり前に前作を読んだので、キャラ設定や前作の事件内容など一部忘れている部分もあったけど…読んでるうちになんとなく思い出してきた。
烏賊川市警察署の砂川警部と志木刑事が起こした失態により、改造拳銃が流出し、何者かが持ち去ってしまった。それから二週間後…その拳銃が原因と見られる他殺死体が、烏賊川市の外れにある鳥ノ岬で発見される。被害者は浮浪者だったのだが…探偵・鵜飼杜夫とその助手まがいの戸村流平の知り合いであることが判明。2人は供養のため、鳥ノ岬を訪れるのだが、流平はそこで…近くに住む資産家・十条寺食品の会長と孫娘と偶然知り合った。それが縁で…鵜飼の元に、孫娘の花婿候補の身上調査を依頼される…。その結果を伝えに、鵜飼と流平が十条寺家宅に参上した時に…件の拳銃を使用した新たな惨劇が起きた!
探偵もその助手も…そして好敵手である刑事たちもマヌケばかり。キャラクター同士のコミカルで丁々発止なやり取りが、けっこうくだらなくてクスリとした笑いを誘う。そういえば、前作の「密室の鍵貸します」もこんな感じだったような気がするなぁ。惨劇の舞台となる十条寺食品の会長の孫娘(社長の娘)の天然ボケキャラぶりなども可愛くてけっこういい感じ。
ギャグ調と見せかけておいて、奇抜に見える不可能事件を、しっかりとした細かな伏線で、ロジカルに推理を展開するなど…推理小説としては、本格志向なのはけっこう嬉しいかなと。そんなにひねくれていないので、犯人やトリックの真相にたどり着きやすいが、その分、作品自体のインパクトは少な目か?安心して読める推理小説ではある。
何故?絶版らしくて、今現在…Amazonのマケプレで2940円もするぞ!?うほっ、105円で買った本だから、自分も撃っちゃおう…じゃなかった、売っちゃおうかなぁ~(笑)まごまごしてると、そろそろ文庫化されちゃうじゃないかな?
個人的採点:65点