水底から君を呼ぶ 著:大石圭
水底から君を呼ぶ
大石圭:著
光文社 ISBN4-334-74133-9
2006年9月発行 定価620円
昨年出た、大石圭の文庫書下ろしのホラー小説を105円でGET!ホラーといっても、大石圭の場合は、バイオレンス&グロテスク描写満載の、猟奇サスペンス的な物語が多いのだが、この作品はオカルト怪奇的な展開で…グロテスク描写は案外控えめだったかな?
幼少の頃に、水の事故で家族を失った“わたし”は…母方の叔母の家に引き取られたのだが、その後の人生は壮絶なものだった…。一方、4人の若い女友達が、深夜にスポーツクラブのプールに忍び込んだのだが、遊んでいる最中にそのうちの一人が忽然と姿を消し…怖くなった仲間は慌てて逃げ帰ってしまった。その後、残りの3人のうちの1人も、新婚旅行先のニューカレドニアの海でダイビング中に行方不明に…。残された夫の卓也は妻を喪った悲しみに打ちひしがれるるなか、妻たちに隠された秘密の気づき、真相を調べ始めるのだが…。
“わたし”の正体もだいたい予想がつくので驚きも少ないし、ホラー的な怖さも、いつもに比べて薄いなぁって感じだけど…人間の嫉妬心に関しては、末恐ろしいくらいに描写されていますよね(笑)あと、いつもはケチな友達が大盤振る舞いにおごってくれたときは、何かがあると思って疑ったほうがいいよね(爆)
壮絶な主人公の生い立ちなど、非道徳的、倒錯的な性描写は相変わらずで、ちょっとロリコン趣味も入ってるよね~。そういう趣味はないけど、この作者が描くと、なんか魅せられてしまうよ。
いつもは湘南の描写なんかも克明に描いてあって、湘南に住んでる自分なんかは、ご当地もの小説として、けっこう大石圭の作品を楽しみにしているのだが、海外がメイン舞台となるので、卓也が住んでいるという設定で一応、湘南が出てくるけど、あまり描写は克明じゃなかったね。
個人的採点:65点