ソウルドロップの幽体研究 著:上遠野浩平
ソウルドロップの幽体研究
上遠野浩平:著
祥伝社 ISBN:4-396-20785-9
2004年8月発行 定価880円(税込)
このブログを書き始めたころに読んだ「あなたは虚人と星に舞う」以来、久々の上遠野浩平。久々といっても前述の作品が含まれる徳間デュアル文庫で出ているシリーズもののSF三部作を読んだことしかないんだけどね…。今回は新伝奇と呼ばれるジャンルで…SFやらファンタジーやらもひっくるめたなんでもありなミステリーエンターティメント。
“生命と同等の価値のある物を盗む”…ペイパーカットと呼ばれる謎の怪盗は、傍目にはどうでもいいものなのだが、狙いをつけたターゲットが大事にしているものを盗み、その直後にターゲットの命も奪い去る!今回もホテルの一室で、日本の政財界にも密かに幅を利かせる、権力者…東澱久既雄の影武者とされる男が殺され、そこからキャンディがひとつ無くなっていた…。ペイパーカットの仕業と認定したサーカム保険の調査員、伊佐俊一と千条雅人はペイパーカットの行方を追う。そして新たに、同じような予告状が、ある女性歌手の追悼ライブ宛てに届いたと知り、たたちに調査を開始!ペイパーカットはいったい何を狙っているのか?
ライノベ系作家さんだけど…普通の推理小説マニアが読んでもギリギリ、セーフかな?今後展開されていくだろうシリーズのためとか、上遠野作品のコアなファン向けの他作品とのリンク、類似など、キャラ設定や相関図にややとっつきにくい箇所なんかもあるのだが…独特なストーリー展開は謎に満ちていて、なかなか面白く、テンポも良い。
作品に登場する謎の解盗ペイパーカットの特技のごとく、アクションやSF要素で上手に読者を目くらまし…ミステリ的に、そこそこ驚けるオチがしかっりと用意されているのが嬉しい。
続編の「メモリアノイズの流転現象」も入手したので、続けて読んでいる最中。
個人的採点:65点