首切り坂 著:相原大輔 | 105円読書

首切り坂 著:相原大輔

首切り坂

相原大輔:著
光文社 ISBN:4-334-07519-3
2003年5月発行 定価820円(税込)









光文社の“KAPPA-ONE登龍門”から出てきた新人作家のデビュー作。けっこう前に買ったんだけど、積読の山の中に隠れてた(笑)明治四十四年を舞台に、怪奇極まる、陰惨な事件に遭遇する小説家の話なのだが…カバーの折り返し部分にある、若竹七海の推薦文や、先に読んでしまった巻末に載っているミステリ評論家がバカミス系と言い放つ作品評を読むと…かなりズッコケなトリックが待ち構えているらしいということだったのだが…。

明治四十四年の初夏…小説家として生計を立てる鳥部は、怪談として世間に伝わる「首切り地蔵の呪い」に、ひょんなかたちで昔からの旧友たちと関わる羽目に…。さらに、その場所で首なし死体が発見されたことにより事件は一変…呪いを本気で信じ始めた鳥部は、事件を調べるため、神秘的な事象を信じる大島という知り合いを頼ることにするのだが…。

確かに、推理小説とすると笑っちゃいそうな真相、奇抜なトリックであり、それを隠すために…筋道がかなり回りくどかったりもするのだけれど、そういったテンポの悪さをカバーするかのように、ミステリを忘れて、明治末期を舞台にした文学小説でも読んでいるような、妙な心地よさを感じる、語り口がなかなか味があってよろしいかと。

雰囲気を楽しむには、いいんだけど…肝心のミステリとしては、本当にズッコケ系のバカミス。それを大真面目にやってるからね…なんか気分的には、京極夏彦とかにも近いんじゃない?(一緒にしたら、京極ファンに怒られてしまいそうだが)






個人的採点:65点