天の前庭 著:ほしおさなえ
天の前庭
ほしおさなえ:著
東京創元社 ISBN:4-488-01717-7
2005年7月発行 定価1,785円(税込)
東京創元社のミステリ・フロンティアで配本された1冊…自分は初めて読む作家だったが、このシリーズで出てる本はけっこう面白い本が多いので期待が高かった。
高校の工事現場から見つかった白骨死体と、日付が刻印された特殊なボールペンが発見された。手がかりになると思われた、そのボールペンの持ち主と思われる人物は、自動車事故で昏睡状態に陥り長い間眠り続けている。事故から9年目にしてようやく目覚めた中里柚乃は、なんと記憶喪失に陥っていた…。家族がいない柚乃は、生前の父親の知人だというツグミという女性に引き取られ、同居を始めるのだが…そこで高校生の時に自分がパソコンで書いたらしい日記を目にするのだが…。
発見された白骨死体を発端に…様々な事件が絡み合う。高校生の時に交通事故で昏睡状態に陥った少女は、9年間も眠り続け、目覚めた時は記憶喪失だった。ドッペルゲンガーに、タイムトラベル…さらに、巷ではテロによる爆破事件が横行中。神戸の震災直後のに、宗教教団が化学兵器を撒き散らして東京でテロを起こしたなんて、まるで某教団の事件にソックリな話まで飛び出し…気になってページをめくってしまう。
「時をかける少女」か?はたまた、島田荘司の「異邦の騎士」なのか?いったいどっちなんだ?(笑)
もしかしてSF・ファンタジー系の小説なんじゃないかとも疑いたくもなったのだけれども、まぁ、当ブログのジャンルわけで“推理小説”にしていますので、SFっぽさを微妙に残しながらも、それなりにまともな着地点。意外と、真相にたどりつく伏線もあったりするんですよ途中でね。読んでいる最中は…青春ミステリーっぽくもあり、テーマはやっぱり家族・血縁。
真相のひねりがもう一歩という印象だが…興味を持続させる構成は上手いなって思った。エンターテイメントとして太っ腹で、面白い。
個人的採点:70点